救世主は米版ポコチャかゲームの新規タイトルか?
セグメント分析で示したように、DeNAの中核事業は依然としてゲーム事業で、売上収益の過半数、セグメント利益のほとんどを生み出しています。ただし、2022年3月は減収となっており、その一方で増収となったのが「Pococa」などのライブストリーミング事業です。
DeNAは、プロ野球やプロバスケットボールクラブ、サッカーJリーグ、陸上チームを擁していますが、ライブストリーミング事業は、これらスポーツ事業の合計を上回る売上利益を上げており、その事業規模の大きさがわかります。
気になるのは、国内のPococha事業の成長動向です。2020年3月期から続いてきた業績の急成長は、2023年3月期に入って「巣ごもり需要の反動」で鈍化。月次課金ユニークユーザーも、2022年3月期の第3四半期をピークに微減から横ばいが続いています。
なお、DeNAの株価はここ5期ほど1800円を中心に推移しており、2023年に入ってからも1700~1800円台で推移しています。そろそろ新しい材料が欲しいところです。
期待されるのは、米国およびインドにおけるグローバル版のPococha、およびバーチャルライブ配信のIRIAMの成長性です。しかしその一方で、ゲーム事業が業績に与えるインパクトは大きく、新規タイトルのヒットで業績が急回復する可能性もあります。
2023年3月期第3四半期決算説明会では、スマートフォンゲームの市場環境の厳しさを踏まえて「事業戦略を見直すことは考えているか?」という質問に、会社は中国拠点におけるスラムダンクのタイトル展開を例にあげ、「市場動向も注視しつつ、持続的な事業運営ができるよう、取り組んでまいります」と答えています。(こたつ経営研究所)