スポーツ事業を上回る売上利益生む「ポコチャ」とは?
DeNAはもともとオークションサイトの「ビッダーズ」を運営する会社として1999年に設立されましたが、2001年には早くもオークション&ショッピングサイトにリニューアル。2006年に携帯電話専用ゲームサイト「モバゲータウン」を開始するなど、さまざまな事業への路線変更を繰り返しています。
2022年3月期のセグメントは、以下の5つです。
・ゲームアプリの配信やゲームポータルMobageの運営を行う「ゲーム事業」
・横浜DeNAベイスターズ(NPB)や横浜スタジアム、川崎ブレイブサンダース(B.LEAGUE)を運営する「スポーツ事業」
・ライブストリーミングサービスPococha(ポコチャ)やキャラクターのライブ配信IRIAM(イリアム)を運営する「ライブストリーミング事業」
・健康レコメンデーションメディアkencom(ケンコム)や遺伝子検査のMYCODE(マイコード)を運営する「ヘルスケア事業」
・祖業のEC事業などを含む「新規事業・その他」
セグメント売上収益(調整前)は、ゲーム事業が前期比18.2%減ではあるものの依然として全体の57.1%を占める747億円。次いで、ライブストリーミング事業が同43.2%増の347億円で全体の26.5%を占めています。このほか、スポーツ事業が同14.7%増の147億円、ヘルスケア事業が同42.9%増の30億円、新規事業・その他が同43.6%減の39億円です。
セグメント利益(調整前)は、ゲーム事業が前期比32.9%減ではあるものの、116億円と大半の利益を生み出しています。次いで、ライブストリーミング事業が同32.9%減の35億円。スポーツ事業は前期赤字から26億円の黒字回復(同11.2%)をしましたが、ヘルスケア事業が前期に続き6億円の赤字、新規事業・その他も前期に続く3億円の赤字となっています。
ゲーム事業はソフトの当たり外れなどにより業績のボラティリティ(変動性)が大きいのが特徴ですが、その穴を埋め始めているのがライブストリーミング事業です。
ライブストリーミング事業は、2017年より開始し国内456万ダウンロード(2022年12月末現在)、2021年よりアメリカ、インドでグローバル版を展開しているライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」と、2021年に子会社化してサービス開始4年を迎えて順調に成長している二次元のキャラライブアプリ「IRIAM(イリアム)」の2つのサービスで主に構成されています。
一般的な知名度はまだ高くありませんが、特に海外での「Pococha」が急成長すると期待されており、2023年3月期の第3四半期の売上収益も前年同期比16%増の298億円となっています。今後の業績に与えるインパクトは大きく、注目すべき事業といえるでしょう。