ロシア事業からの撤退 日本は先進国で2番目の低さ
また、帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、世界各国の企業の「ロシア事業撤退(Withdrawal)」を分析したところ、全世界の主要企業約1600社のうち、約3割に当たる約500社がロシア事業から撤退、または撤退を表明していることがわかった。【図2参照】
このうち、日本企業の割合は先進主要7か国中2番目に低い水準で、ロシアでの事業展開が10社以上判明した全世界約30か国の中でも19番目の水準にとどまった。
国別にみると、ノルウェーやフィンランドは撤退の割合が60%を超えるほか、英国も55%が撤退した。【図3参照】
ただ、直接的な対ロ制裁の対象外である日用品や製薬などでは、欧米諸国のグローバル大手などでもロシアビジネスを続行するケースが多くみられ、「脱ロシア」を主導してきた欧米企業でも対応に差異がみられる。
たとえば、フランスの家庭用食品大手のダノンがロシア事業の9割に相当する乳製品や植物由来食品の事業から撤退する意向を明らかにした一方で、同じ家庭用品大手の米英企業ではロシアからの明確な撤退を示していないなど、ロシア事業への姿勢の違いが鮮明となっている。
こうした半面、日本企業では自動車大手などを筆頭に、昨秋以降、現地事業の撤退を決断するケースが増えている。
ロシア事業依存によるレピュテーションリスク以外に、部品調達などサプライチェーンの混乱といった物理的で短期の解決が難しい問題が理由だ。帝国データバンクは「日本企業の脱ロシアは『様子見=事業停止』の第一段階から『撤退』へ方針転換を決断する第二段階へ移行していく」とみている。