LINE出身の出沢剛氏が社長CEOに就任 魅力的なサービスを生み出せるか?
背景には、持ち株会社が機能しなかったことがあった。
1997年に独占禁止法改正で解禁された持ち株会社制度は、ソニーやパナソニックにもみられるように、子会社を各事業に専念させ、持ち株会社は司令塔として迅速に意思決定することにある。
しかし、ZHDの場合、前述のような多層構造の中で、それぞれの事業会社に歴史があり、上場企業も多く存在する特殊な形態にならざるを得なかった。その結果、「複雑さがセクショナリズムを生み、持ち株会社のグリップが十分に利かず、意思決定を遅らせていた」(アナリスト)と評される。
これを乗り越えるための合併=持ち株会社制度の解消なのかもしれない。その点で、注目すべきは、同時に発表されたトップ人事だ。
ZHDはヤフー出身の川辺氏とLINE社長の出沢剛氏が代表取締役共同CEOとして指揮してきた。だが、4月からは川辺氏は代表権のある会長となり、出沢剛氏が社長CEOに昇格した。LINE出身者が主導する新体制といえる。
四半世紀以上の歴史を持つヤフーに対し、LINEはサービス開始からまだ10年と若い。「LINEに息づく『ベンチャー精神』を活かしたスピード感ある経営により成長を目指すということだろう」(大手紙経済部デスク)。
重複事業の統廃合は大前提で、その先にどんな魅力的なサービスを生み出せるか。楽天グループなどのライバルとの競争に打ち勝つカギは、そこにある。(ジャーナリスト 済田経夫)