和製巨大IT企業として期待された経営統合 だが、サービスの統合なかなか進まず
こうした統合は、月間利用者数約9300万人のLINEと、ECなどのサービスを提供する同約5500万人の「Yahoo! JAPAN」、さらに登録利用者数約5300万人のペイペイという圧倒的な顧客基盤を活かした総合力アップを目指したものだ。
統合当時の報道でも、米巨大ITの「GAFA」(Google、Amazon、Facebook、Apple)や、中国IT大手に対抗する和製巨大IT企業誕生への期待の声が少なくなかった。
同時に、スマホ決済でペイペイと「LINE Pay」、ニュースの「ヤフーニュース」と「LINEニュース」など、重複する分野も多く、サービスの再編をいかに進めるかが大きな課題とされた。
実際、サービスの統合はほとんど進まず、辛うじてヤフーとLINE、ペイペイの3社で、新たな共通マイルのサービスを2023年3月から始めることになった(2022年11月発表)程度。サービスの融合に不可欠なヤフーとLINEのID連携については、今回の合併発表の際も「23年度以降」というままで、明確な時期は示されていない。
今回の合併発表でも川辺氏が「意思決定がさまざまに交錯する中で、どうしてもスピード感を上げられない、あるいは考えを一つにまとめられない。そういったデメリットが、この2年を経てかなり出てきた」と認めた。まさに、この弱点克服が合併の直接の目的ということだ。