「転職するなら今が絶好のチャンス」賃金1割以上増えてウハウハ、過去最高レベル! 人手不足から、労働市場が景気よりも「過熱状態」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   「転職するなら今が絶好のチャンスかも!?」。そんな調査がまとまった。

   リクルート(東京都千代田区)が提供する転職支援サービス「リクルートエージェント」が2023年1月26日に発表した「2022年10~12月期 転職時の賃金変動状況」がそれだ。

   転職後に1割以上賃金が上がった人の割合が、過去最高の水準だというのだ。いったい、どういうわけで?

  • よし、転職先でバリバリ頑張るわ(写真はイメージ)
    よし、転職先でバリバリ頑張るわ(写真はイメージ)
  • よし、転職先でバリバリ頑張るわ(写真はイメージ)

転職で給与1割以上あがったIT系エンジニア、約4割

   リクルートエージェントは、毎年、転職時の賃金変動状況を調査しているが、その際、転職後に明らかに収入が増えた人に重点を置いているのが特徴だ。具体的には、「前職と比べ賃金が明確に(=1割以上)増加した転職者の割合」を調べる。算出する数式を表すと【図表1】になる。

kaisha_20230222184313.png
(図表1)算出式(リクルートの作成)

   昨年(2022年)10~12月期をみると、全体では、「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は、四半期推移で約3割の33.4%となり、2012年の調査開始以来、最高の水準となった【図表2】。新型コロナの感染が拡大し始めた2020年10~12月期には26.4%に落ち込んだが、その後どんどん増加し、転職が有利になっていることがわかる。

kaisha_20230222184332.png
(図表2)全体の状況(リクルートの作成)

   職種別にみると、IT系エンジニアの伸びが著しい。2022年10~12月期は4割近い39.7%に達した。新型コロナ感染が始まった2019年ごろからやや減速感が見られていたが、2021年は上昇基調に戻り、IT業界の世界的な再開を背景に、過去最高水準の「転職ドキ」となった【図表3】。

kaisha_20230222184351.png
(図表3)IT系エンジニアの状況(リクルートの作成)

   機械・電気・化学エンジニアは、2022年10~12月期は28.9%だった。2019年以降、下落基調が続いていたが、2020年10~12月期を底に反発。以降は上昇傾向に戻っている。新型コロナが落ち着き、製造業が復活傾向にあることが大きい【図表4】。

kaisha_20230222184412.png
(図表4)機械・電気・化学エンジニアの状況(リクルートの作成)

接客・販売・店長も4割がウハウハ、今が転職ドキ!

   営業職は、2022年10~12月期は32.3%だった。経済状態にかかわらず、比較的転職が多い職種のため、浮き沈みが大きいが、新型コロナが落ち着いた現在は上昇傾向に戻っている【図表5】。

kaisha_20230222184430.png
(図表5)営業職の状況(リクルートの作成)

   事務系専門職は、2022年10~12月期は31.4%と、過去最高を更新した。2017年以降、弱めの動きが続いていたなか、新型コロナの感染拡大も重なり、2020年ごろにかけては低水準が続いていた。しかし、2021年半ばから上昇傾向に転じ、現在は格好の「転職ドキ」状況となっている【図表6】。

kaisha_20230222184449.png
(図表6)事務系専門職の状況(リクルートの作成)

   接客・販売・店長・コールセンターは、2022年10~12月期は38.6%と高い水準を維持している。新型コロナの感染が拡大し始めた2020年 10~12月期はどん底に近い状況だったが、コロナが落ち着き、消費活動が活発化した現在、接客業や小売業界は人手不足状態になっている。こちらも「転職ドキ」といっていいだろう【図表7】。

kaisha_20230222184512.png
(図表7)接客・販売・店長・コールセンターの状況(リクルートの作成)

「景気の過熱」よりも「労働市場の過熱」がはるかに上回る

   ところで、なぜ今、「転職ドキ」なのだろうか。【図表8】はリクルートが2022年にまとめたリポート「労働市場の過熱と企業の対応」のなかにある「景気の底でも労働市場の過熱感は高水準を維持」というタイトルの説明図だ。

kaisha_20230222184535.png
(図表8)業況感/人員不足感、転職時に賃金が増加した転職者の割合(リクルートの作成)

   これを見ると、2013年頃までは日本銀行の「短観」(全国企業短期観測調査)が示す「業況感」(企業の先行きの景気見通し)と「人員不足感」、そして「転職時に賃金が1割以上増えた人の割合」がほぼ連動していた。

   つまり、転職しても賃金が増えることを期待できるかどうかは、景気の動向に左右されるところが大きかった。好景気ならよいが、落ち込んでいる時に転職しても、賃金は上がりにくいというわけだ。

   ところが、現在は、「景気の過熱」よりも「労働市場の過熱」のほうが上回っている状況だ【再び図表8】。

kaisha_20230222184555.jpg
ジャンプするように転職しよう(写真はイメージ)

   新型コロナによって落ち込んだ「業況感」のボトムより、はるかに上の水準に「人員不足感」と「賃金が1割以上増加した転職者の割合」のグラフがあることが見てとれる。それだけ人出不足が深刻になり、企業の「求人」が過熱しているというわけだ。

   なるほど、転職するなら今が絶好のチャンスといえるだろう。(福田和郎)

姉妹サイト