世界経済の主役は「グローバルサウス」に
「週刊エコノミスト」(2023年2月28日号)の特集は、「戦争で変わる世界経済」。ロシアのウクライナ侵攻から1年。変わる世界の経済秩序をレポートしている。
支援で疲弊する西側諸国に対し、主役は中国やインド、トルコといった新興国・発展途上国からなる「グローバルサウス」になるという指摘が新鮮だ。
日本総合研究所会長の寺島実郎氏は、「世界を単純に二極に分断するな」というメッセージを彼らは発していると説明する。
ところで、ウクライナ戦争の今後の見通しはどうなのか。東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏は、「ロシア、ウクライナとも戦意は衰えず、停戦まで3年はかかる」と見ている。
停戦の行方について、元外務省欧亜局長の東郷和彦氏は、「クリミア半島維持が最低条件。プーチン氏に『逃げ道』を認めよ」と提言している。終戦の難しさを知る日本だからこそ、停戦を粘り強く仲介すべきだというのだ。
◆日銀新総裁に植田和男氏起用、市場は好感
日銀新総裁として、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事案を政府が14日(2023年2月)国会に提示したことに触れていう。市場関係者に好感されているが、異次元緩和の修正という「いばらの道」が待ち受けると見ている。
「週刊ダイヤモンド」も、植田氏の起用は「政治の過剰介入」の流れを断ち切る思惑もあったと見られると好意的に取り上げている。
また、「週刊東洋経済」は、植田氏は、金融緩和路線を続けるハト派なのか、引き締めに転じるタカ派なのかは見方が定まっていないとしたうえで、「極めて難しい舵取りが求められている」と書いている。(渡辺淳悦)