スキー観光業を営む企業の責任として活動を開始 パートナーシップの輪が広がる
近年、雪質の変化や降雪量の減少など、スキー場でも地球温暖化の影響が懸念される中、脱炭素社会の実現に向けた活動を推進する八方尾根開発。
これまでの取り組みの経緯について、SDGsマーケティング部の松澤さんは次のように話しています。
松澤さん「白馬八方尾根スキー場がある長野県白馬村は、2020年2月に『ゼロカーボンシティ宣言』を表明しました。雄大な北アルプス白馬連峰のもと、豊かで美しい自然の景観に恵まれたこの地にとって、地球温暖化は極めて深刻な脅威です。私たちは白馬村でスキー観光業を営む企業の責任として、ゼロカーボンの実現に向けて、行動を起こす必要性を感じました。
スキー場ではリフトを動かす電力により多量のCO2を排出しています。また、人口降雪機で雪を作るには、リフトを動かすよりも多くの電力を使います。スキー場に必要な雪を作る行為が地球温暖化の原因になっています。持続可能な観光業を営むためには、この問題に対して何かしらの行動を起こさなければならないと考えました」
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八方尾根開発の松澤さん
利用者や従業員からの反響も上々です。
松澤さん「電力の再エネ化は、目に見える変化がないため、切り替えをした施設に表示をしたり、告知イベントを開催したりしてきました。また、環境イベントに参加することで、発信の機会を作りました。お客様からは、『大きなスキー場が率先して取り組むことが重要、八方尾根の活動を支持します』とうれしい反応をいただきました。
社員は環境意識がさらに高まり、『自分たちにできることは、ほかにもあるのでは』という視点から、ゴミ問題や資源問題に留まらず、地域との連携にも積極的な活動が見られるようになりました。また、私たちの活動を知った企業からのお問合せが増えてパートナーシップも広がり、『共に働きたい』と職場の仲間も増えました」
今後の計画や取り組みについては、どのような展望があるのでしょうか。
松澤さん「八方尾根開発では、2030年までに自社が排出するCO2をゼロにする目標があります。白馬八方尾根スキー場に自社が所有する施設の電力はすべて再エネに切り換えを済ませていますが、切り替えの済んでいないスキー場外の施設についても再エネ化を進めます。
そのほか、燃料から出る温室効果ガスの削減がこれからの課題です。燃料の切り換えは設備自体の変更も必要となるため、パートナー企業のご協力や自身の知識を深めながら進めていきたいと考えています」
冬のシーズンには、スキーやスノーボードを楽しむ方も多いと思います。これからもウィンタースポーツを楽しむことができる環境を維持するために、再生可能エネルギーは重要な役割を果たしつつあります。
なお、環境省の再生可能エネルギー情報のポータルサイト「再エネ スタート」では、「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指して、さまざまな企業、自治体が取り組む最先端の事例を紹介しています。今回取り上げた企業以外の事例を知りたい人は、こちらをご覧ください。
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