「トイレ中、ミュートにするのを忘れてて...」「会議中、立ち上がったら下半身が下着だった...」。ウェブ会議でついやらかしてしまうミスってありますよね。
そんななか、グループウェアなどICTツールを開発している「ネオジャパン」(横浜市西区)が立ち上げた「NEOビズコミ研究所」が2023年1月31日、「ウェブ会議でついやってしまったランキング調査」を発表した。
あなたも身に覚えのあるエピソードの数々、対応策の勉強のためにも参考にしてはいかが。
ウェブ会議中に「内職」「ゲーム」「昼寝」「飲酒」...
「NEOビズコミ研究所」の調査は、2022年12月に業務でチャットツールを使う20代~50代のデスクワーカー400人を対象にインターネットでアンケートした。
ウェブ会議は、自宅からも参加できるなど多くのメリットがあるが、対面での会議に比べ緊張感に欠けたり、集中できなかったり、デメリットも少なくない。そこでまず、「してはいけないと知りながら、ついやってしまったこと」(複数回答可)を聞いた。
最も多かったのは、「その会議とは関係ない仕事をする」(24.0%)で、約4人に1人が「別の仕事に精を出す」ことを経験していた。あまり自分が発言する状況ではなく、人の話を聞いているだけの会議では、その誘惑に駆られることも分かろうというものである【図表1】。
2位は、「人には見せられない身だしなみで参加する」(19.0%)で、これは「カメラOFF」が認められる会議の場合に限るようだ。次いで「発声せず、チャットだけで会話に加わる」(9.8%)、「発声せず、チャットだけで会話に加わる」(9.8%)、「会議の内容そっちのけでカメラに映った人の顔などを観察する」(8.3%)などと続く。
呆れるのは、「カメラOFF」をいいことに、イタズラまがいの行動をとる人がいることだ。割合は少ないものの、「ゲームやプライベートな目的でネットを楽しむ」(7.5%)、「居眠りをする」(7.0%)、「他の人に成りすまして参加する」(3.3%)、「飲酒する」(3.0%)などの剛の者がいるのも見逃せない【再び図表1】。
「カメラON派」「OFF派」では、6割が「ON派」だが...
こうしたことが起こる背景として、ウェブ会議の「カメラON/OFF」はどうなっているか。たいていのウェブ会議システムには、カメラのON/OFF機能がついている。カメラ機能をONにするかOFFにするか、スタンスは個人の考えや所属する会社の社風などさまざま。
そこで、「いつもウェブ会議ではカメラはONか、OFFか」を聞くと、「常にカメラONにしている」(30.3%)、「どちらかと言うと、カメラONにしている」(28.3%)を合わせて、「ON派」(58.6%)が約6割の結果に【図表2】。
「ON派」「OFF派」、それぞれの理由を聞くと、まず「ON派」は――。
「サボってないのを確認するため」(20代男性)
「顔をみて話すことがコミュニケーションの一環であるとのことだから」(20代男性)
「会社からの規定・約束事として指示されている」(40代男性)
「参加している雰囲気を醸し出すため」(50代男性)
「参加意欲を見せて、聞いてますアピールをするため」(20代女性)
「常にカメラをONにしろという暗黙の了解がある」(30代女性)
「それが常識だと思っている」(40代女性)
「顔が見えたほうが、誰が発言しているかわかりやすい」(50代女性)
一方、「OFF派」の声を聞くと――。
「みんなOFFにしています」(20代男性)
「自分の姿を見られたくない」(30代男性)
「通信回線の負担になるので」(30代男性)
「恥ずかしい」(20代女性)
「在宅勤務日は化粧をしたくないので、オフにしている」(女性30代)
「顔を見られたくない。社内の嫌いな人の顔を見たくない」(女性40代)
「身だしなみを気にせずに参加している」(女性50代)
などの声があった。
自己表現の手段や遊び心で「バーチャル背景」を使う
こうして聞くと、「個人の意志」でカメラON/OFFを決めているケースと、会社からの指示や同調圧力で決めているケースと、両方あることがわかる。
そこで、主に社内ウェブ会議で、そんな「外圧」があるかどうかを聞くと、「カメラは必ずONにしていなければいけない雰囲気がある」が45.5%、「カメラOFFでも許される雰囲気がある」が54.5%と、「カメラOFF容認派」がやや優勢という結果になった【図表3】。
さて、「カメラON」の際に問題になるのが、「身だしなみ」と同時に、「背景」だ。最近はウェブ会議のシステムに入っている「バーチャル背景」を活用する人が多い。ただ、プライベートで利用した、悪ノリしたバーチャル背景を、そのまま上司との会議で表示してしまったという「ミス」も増えている。
バーチャル背景を活用している人はどのくらいいるのか。使用経験を聞くと、「経験あり」(40.0)は4割だった。また、性別年代別に見ると、30代男性がもっとも多く、51%と多数派になったという【図表4】。
バーチャル背景を使用する理由を聞くと、「背景に見せたくないものがあるから」(81.9%)が圧倒的に多いが、なかには「自分の性格やキャラクターを表現する手段として」(12.5%)、「自分が楽しい気分になるから」(10.6%)など、自己表現の手段や遊び心で使う人もいる。
「緊迫した会議、猫が入り込んで和ませてくれた」
最後に、ウェブ会議で起きた珍エピソードを聞くと、こんな体験談が寄せられている。
「名前の表記が、プライベートのニックネームになっていた」(30代男性)
「音声ミュートにしていたつもりが、していなくて悪口筒抜け」(40代男性)
「当事者以外の人が、オリジナルの壁紙背景でサプライズ送別会。寄せ書きやギフトもオンラインでリンクを送り、リモートならではのよい送り出し方になった」(20代女性)
「上司のマイクのミュートが解除されており、子どもの可愛らしい会話が流れきた」(20代女性)
「上司がずっとマイクをオンにした状態で、コーヒーを飲む音がずっと聞こえていた」(20代女性)
「緊迫した雰囲気の中、同僚の猫が入り込んで和ませてくれた」(20代女性)
「カメラONの会議の後ろを、半裸の夫が通った」(30代女性)
ウェブ会議には、リアルな会議以上にドラマが潜んでいるようだ。(福田和郎)