6月の国連理事会までに、勧告を受け入れるどうか判断 勧告に法的拘束力はない
だが、死刑制度を存続させていることのデメリットもある。
たとえば、日本人犯罪者が死刑制度を廃止している国に逃亡して捉えられ、日本で死刑になる可能性がある場合に、逃亡先の政府が犯人の引き渡しを拒否するケースもあり得るし、捜査協力や司法協力を拒まれる可能性もある。
日本国民の多くは「平和憲法」を支持している。
広島・長崎への原爆投下という悲惨な体験と多くの犠牲者を出した敗戦が、日本人の平和を望む気持ちの根底にある。しかしながら、戦争も死刑も「他人を殺す」行為という点では同じ。戦争には反対だが、死刑には賛成という考え方は、必ずしも「他人を殺す」行為を否定しているわけではない。事実、死刑を廃止している国でも戦争行為を行っている国はある。
死刑制度のあり方については、内閣府の世論調査だけではなく、国民的な議論を行うべきではないだろうか。
今回の国連の勧告に法的拘束力はないが、日本政府は6月の国連理事会までに勧告を受け入れるかの判断を示す必要がある。