死刑制度を「廃止すべき」9.0%、「わからない・一概に言えない」10.2%、「やむを得ない」80.8% 内閣府調査
たしかに、日本では死刑制度を容認する世論が根強い。
直近の調査となる2019年度の内閣府の全国の3000名を対象に実施した「基本的法制度に関する世論調査」では、「死刑は廃止すべきである」の9.0%、「わからない・一概に言えない」の10.2%に対して、「死刑もやむを得ない」が80.8%と、8割を超える人が死刑制度を容認している。(表1)
死刑制度を容認する理由としては、下記のようになっている。
「死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」56.6%
「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」53.6%
「凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと、また同じような犯罪を犯す危険がある」47.4%
「死刑を廃止すれば、凶悪な犯罪が増える」46.3%
この比率はこれまでの世論調査でも、ほぼ同じだ。
つまり、死刑制度容認の主な理由は、被害者(遺族)感情に対する配慮、国民感情、犯罪抑止力ということになろう。
今回の勧告に対しても、斎藤健法相は6日の衆院予算委員会で、「廃止は適当ではない」との認識を示している。同法相は、「凶悪殺人がいまだ後を絶たない」として、「著しく重大な凶悪犯罪をした者に対しては、死刑を課することもやむを得ない」と強調している。
だが、憲法第36条では「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」と定めている。つまり、政府(公務員)による死刑執行が残虐な刑罰に当たるとの考え方から、憲法学者の中には「死刑は憲法違反」との説もある。
また、誤審や冤罪の場合には、死刑を執行してしまえば取り返しのつかない事態になる。そのため、死刑制度を廃止して、欧米で採用されている仮釈放のない「終身刑」を導入すべきとの意見もある。
もっとも、前述の世論調査では、「仮釈放のない終身刑が新たに導入された場合、死刑を廃止する方がよいか」との質問に対して、「廃止しない方がよい」と回答した人が52.0%に上っている。