「植田日銀」への期待、「金融緩和の縮小」がトップ
では、日本銀行はどんな金融政策を打ち出せばよいのだろうか。
今後(1年程度の間)の望ましい金融政策の方向性を聞くと、「金融緩和の縮小」(39.6%)で最も多くなり、「現状維持」(36.4%)を上回った。次いで、「金融緩和のさらなる拡大」(17.6%)、「金融引き締め」(6.4%)と続いた【図表2】。
規模別に見ると、「金融緩和のさらなる拡大」は、低金利の恩恵を受ける傾向が強い「中小企業」(18.4%)と「小規模企業」(19.1%)が「大企業」(12.4%)を上回った。
逆に、「金融緩和の縮小」では、経営力が大きく、グローバル市場で取引する企業が多い大企業(49.6%)が、「中小企業」(38.0%)や「小規模企業」(36.1%)よりも高くなっている【再び図表2】。
企業の多くからは、大規模な金融緩和による副作用へ対処するために方向転換が必要だという意見が多く聞かれた。
「マイナス金利は経済成長にひずみが出るので、徐々に脱却を図ることを望む」(一般貨物自動車運送)
「日銀の役割は、経済の体調を整える医師(薬剤師)である。投薬を長く続けると弊害も出るので、正常化までのプロセスを策定し実行してほしい」(工業用プラスチック製品製造)
「国債や保有株式についての出口戦略を具体的に説明すべき」(貸事務所)
「ゼロゼロ融資の期限を迎え、業績回復が芳しくない中小・零細企業は、資金繰りに窮する場面が予想されるため、バランスを考慮した政策が望まれる」(ガラス工事)
「行き過ぎた量的緩和の弊害を取り除いてほしいが、借入金の比重が大きい中小企業にとって借入金利息の引き上げは避けたい」(自動車部分品・付属品卸売)
ただし、政策修正の際には、「急激な変化が好ましくないことは明らか。新総裁はソフトランディングできるよう気を配ってもらいたい」(プラスチック部品卸売)、「アメリカのような急激な対策は取らず、金利を上げるなら、少し上げて様子をうかがうような慎重な対応を望む」(鉄筋工事)と、慎重に対応していくよう求める声が非常に多かった。