セールスパーソンが誤りがちな「説明」の仕方とは? 間違った「プレゼン資料」も作っていませんか?(大関暁夫)

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   ここまでの一連のシリーズでは、営業はいきなり売らないこと、5つのステップを順序通りに踏んでから売ることで成約の確率が高くなること、すなわち「予備調査⇒カットイン⇒ヒアリング」の手順を経てセールスに至るのがよいとお話をしてきました。

   今回からはいよいよ、ヒアリングまでのステップを踏んだうえで迎えるセールス(プレゼンテーション)の進め方について取り上げます。

「この資料は誰のために作ったのですか?」

   セールスではまず入口で、誤りがちなことがあります。

   それは、セールスの目的がこちらからの説明を理解させることにはない、ということです。それよりも大事なのは、説明そのものに強い関心を持ってもらうことにあります。

   この違いを理解していないと、押し売り的なセールスになってしまうという過ちを犯すことになります。分かりやすく言うと、コマーシャルで商品声明はくどくどしない、ということと同じです。関心を持ってもらわないことには、成約には至らないからです。

   となると、セールス資料の作り方にも、それに従った注意が必要です。

   いろいろな企業をお手伝いする中で、営業の人たちがプレゼン資料を作成しているのを目にすることがありますが、よく見られるのが説明資料作成に終始しているケースです。

   つまり、会議資料と同じように、起承転結に沿ってポイントを箇条書きにしたような資料を作って、「プレゼン資料できました」と満足顔でいる営業担当者は意外に多いのです。

   そんな資料を見かけた折には、私は質問をしてみることにしています。

   「この資料は誰のために作ったのですか?」と。

   すると、たいてい担当者は、「お客様のためです」と答えます。「本当ですか?よく考えてみて」と何回か繰り返し尋ねてみると、半分ぐらいの人は気が付くのです。

   「自分が説明しやすいように、自分のために資料を作っていたかもしれません」と。

   そうなのです。プレゼンテーションであるにもかかわらず、知らず知らずに自分が説明しやすい、「自分のための資料」を作ってしまっていることが間々あるのです。

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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