年収益率は6%前後を目指そう
次は、ゴール地点を設定する。現実的に達成可能な範囲でストレッチすればいいという。本書では、過去20年間の世界株式と世界債券の累積収益率のグラフを示し、「株式は米ドル建てで12.0%・円建てで13.3%」「債券は米ドル建てで5.0%・円建てで6.2%」となっている、と指摘。
この期間は投資にとって絶好の期間だったので、下落することも織り込み、株式市場に期待していい収益率(年率)は6%前後が現実的だとしている。
長期的には複利で運用するので、「月6万円を拠出できれば、30年後には4000~6000万円くらいの資産をつくるのは、それほど難しくない」と書いている。
バランスシートを作成し、先々のキャッシュフローを描いたら、目標を設定し、目標IRR(内部収益率)が3~6%になるよう、目標金額を調整する。エクセルを使うと簡単にできる。
いよいよポートフォリオを構築する。たとえば、目標IRRが3%の例を挙げている。
「外国株式(先進国株式)20%・先進国国債40%・日本株式5%・日本国債30%・グローバルREIT5%」
組み合わせは自由だが、2つのセオリーがあるという。
1つは国際分散投資を基本とすることだ。初めての人は投資対象が日本株式や日本国債に偏りがちだが、外国株式、先進国国債、新興国国債などをバランスよく組み合わせること。
もう1つは、目標IRRに沿った商品を選ぶことだ。目標IRRが高くなると、積極的にリスクを取る必要があるため、期待リターンの高い商品の構成割合が大きくなる。日本国債→先進国国債→先進国株式→新興国株式、債券から株式へ、先進国から新興国へとシフトしていくことになる。
本書では、年収高めの人、社会人4年目で余裕がない人など、6人のバランスシートをもとにアドバイスしている。若い人に参考になりそうなポイントをいくつか抜粋しよう。
・余裕がなくても確定拠出型年金(DC)、個人型確定拠出年金(iDeCo)だけ始めよう。なぜなら全額、課税対象所得から差し引かれるからだ。その分、年間の所得税を減らし、手取り金額を増やすことができる。
・節税効果が得られる投資対象は積極的に。例えば生命保険。規模は小さいながら節税効果を得られる投資商品の1つである。