3社倒産したが、1度も失業給付を受ける余裕はなかった
一方、岸田首相が制限期間の短縮の目的を「転職を促し、労働移動を円滑化する」とした点については、疑問の声が多かった。
「雇用の流動化が目的なのであれば、考え方がまったく的外れだと思います。自己都合で退職した大部分の人は、次の職のめどをつけてから退職します。なぜかというと、退職後に失業手当を受給できるのが3か月先になるから、間をあけずに働くためです。
なので、単に自己都合退職後の待機期間を短くすることは、退職を考えている人が次の職のめども立たないままに安易に退職してしまいかねず、雇用の流動化にはつながりません。むしろ逆効果です」
また、制限期間を短くすると、悪用して失業保険で食いつなぐ人が増えるのでは、という指摘もあった。
「何らかのルールや規制をかけないと、必ず悪用するやつが出るのよ。コロナの時も協力金、雇用調整金、給付金...すべてで性善説では防げなかった。必ず監視と悪用に対する厳罰はセットでお願いします」
最後に、こんな人の意見を紹介したい。
「私は、子ども2人を保育園に預けて、当時5万円近く保育料を払って、共働きでした。そして、現在までずっと非正規雇用で働き続けています。その間勤め先が3社倒産して、今は4社目の勤務先です。ずっと雇用保険はかけてきましたが、一度も受け取ったことがありません。
受け取って職探ししている余裕などなく、すぐに働ける場所を探しました。これが労働者の現実です。ボーナスもなく、サービス残業をさせられて、支払う税金ばかり増えて、子育て支援だの、育児手当だの言っていますが、幼い子どもの世話は年金暮らしの祖父母がしている現状を政治家の方たちは理解していない。今一部の方々を除いて、若い世代も、中間世代も、年金暮らしの世代も、みんな貧困」
(福田和郎)