「ええっ、退職には『自己都合』と『会社都合』というのがあるの?」。ネット上で驚きの声が若い世代から上がっている。
2023年2月15日、政府の「新しい資本主義実現会議」で岸田文雄首相が「『自己都合』で退職した場合の失業給付のあり方を見直す」と述べたことがきっかけだ。
さっそく、2月17日のNHK「おはよう日本」のWebニュース「よく読まれている」ランキングでは、「自己都合退職と会社都合退職」関連ニュースが1位と5位に躍り出るなど、いま、あらためて話題を集めている。
退職をめぐり、いったい何が問題になっているのか。ここで、「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いをざっとおさらいしてみよう。
自分から辞める「自己都合」、クビやリストラに遭う「会社都合」
報道をまとめると、2月15日に開かれた「新しい資本主義実現会議」では、構造的な賃上げなどの実現に向けた取り組みの意見が交わされた。この中で、岸田首相は「働き方が大きく変わっている。労働者が自らの選択で労働移動できるようにしていくことが経済のさらなる成長のためにも急務だ」と述べた。
そして、「デジタルやグリーンなどの成長産業も含めて、労働移動の円滑化を図る必要がある。自己都合で離職した場合の失業給付のあり方を見直す」ことを明らかにしたのだった。
失業給付は、仕事を失った後にハローワークで手続きをすることで、直近の賃金の5~8割程度の金額を90~330日間にわたり受け取ることができる制度だ。その際、退職の仕方に大きく分けて2種類がある。「会社都合退職」と「自己都合退職」だ。
「会社都合退職」とは、解雇やリストラ、事業所閉鎖、退職勧奨など会社側の都合により労働者との雇用契約を終了すること。早期退職者募集に自ら応募した場合も基本的には「会社都合」になる。
一方、「自己都合退職」は、結婚や転職、そのほか労働者側の都合で退職すること。労働者が自由な意思で退職した場合には、基本的に「自己都合退職」と扱われる。