三井金属株、4.6%安...23年3月期連結業績予想の大幅下方修正を嫌気 背景に、スマホの生産減で「銅箔」販売落ち込む見通し

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   銅などを供給する非鉄金属大手、三井金属鉱業の株価が2023年2月8日の東京株式市場で一時、前日終値比155円(4.6%)安の3195円まで下落し、約1か月ぶりの安値となった。

   前日の取引終了後に、2023年3月期の連結業績予想を大幅に下方修正したことが、投資家に嫌気された。銅関連の主要部材の販売減などが響く。株価はその後やや持ち直しているが上値を追うような勢いはない。

前回予想時より円高に振れた為替相場、エネルギーコスト増も影響

   2023年3月期連結決算の業績予想の修正内容を確認しよう。売上高は従来予想より400億円少ない6550億円(前期比3.4%増)、営業利益は170億円少ない170億円(72.0%減)、経常利益は230億円少ない220億円(66.7%減)、最終利益は230億円少ない130億円(75.0%減)。各利益は前期比で大幅な減益になる。

   三井金属の得意とする、銅を極限まで薄く加工した「極薄銅箔」は、サイズによっては世界トップシェアを誇る。これは、スマートフォンやサーバーなどの情報通信機器や車載用リチウムイオン電池などに幅広く使われている。

   この銅箔の販売について、スマートフォンの生産減などにより落ち込む見通しなったことが下方修正の主な要因だ。為替相場が前回予想時より円高にふれていることや、エネルギーコストが増していることも影響する。

証券会社リポート「想定以上の減額修正となり、ネガティブな印象」

   今回の下方修正は、市場にとって想定外のものだった。

   野村証券は発表を受けたリポートで第一印象を「ネガティブ」とした。三井金属が極薄銅箔の販売量予想について、2023年3月期下半期の予想を上半期の半分弱としたことなどから、「スマホのパッケージ用だけでなく、非スマホのパッケージ用でも大きな在庫調整が発生していると考えられる」と指摘した。

   SMBC日興証券も発表を受けたリポートで「下振れは見込んでいたが、想定以上の減額修正となり、ネガティブな印象だ」との受け止め方を示し、「金属相場、為替、エレクトロニクス市場の変動によって利益見通しが大きく振れる収益構造を再認識した」と記した。

   三井金属は極薄銅箔のシェアが高いことなどから、今回の下方修正の要因は販売の数量に限ったもので競争環境に変化はなく、納入価格は安定していると説明している。

   とはいえ、肝心の需要が持ち直さなければ、販売数量の回復はない。スマートフォンは最終価格が高騰するなか買い換え需要を見通しにくいだけに、三井金属の業績にとっても先行きの不透明感が拭えなくなっていると言えそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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