太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマス...。環境負荷の少ない再生可能エネルギー(再エネ)の活用・導入がいま、企業や自治体でどんどん広がっていることをご存じですか? 「再エネ活用、はじめませんか?」では、最先端の再エネ事情、取り組みを紹介しています。
みなさんは、「そらべあ基金」をご存知でしょうか。そらべあ基金は、再生可能エネルギーの普及・啓発活動や未来を担う子どもたちへの環境教育など、地球温暖化防止を目的に活動するNPO法人です。
未来を担う子どもたちに環境の大切さを伝える
そらべあ基金では、個人や企業からの支援によって、全国の幼稚園・保育園・こども園などに、太陽光発電設備「そらべあ発電所」を寄贈する「そらべあスマイルプロジェクト」に取り組んでいます。
このプロジェクトでは、環境教育の観点から再生可能エネルギーを導入し、未来を担う子どもたちに環境の大切さを伝えることで、よりよい環境の循環によって地球温暖化を防ぎ、未来を変えていくことを目指しています。
2008年のプロジェクト開始から2022年12月末現在で、全国80の幼稚園・保育園・こども園などへ太陽光発電設備「そらべあ発電所」を寄贈しており、2021年までの発電量の合計は約168万kWh。CO2削減量は859トンとなっています(注1)。
(注1)CO2削減量は、環境省が発表している「電気事業者別排出係数(代替値)」に基づいて算出。
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「そらべあスマイルプロジェクト」の仕組み
削減した紙資源の費用を積み立て、「そらべあ基金」に寄付

ソニー生命保険の森下さん
こうした活動には、地球環境保全に取り組む企業の協力や支援が不可欠なものとなっています。
そこで、ソニー生命保険株式会社(東京都千代田区)は、2011年から「そらべあスマイルプロジェクト」を通じて、全国の幼稚園や保育園などに、太陽光発電設備を寄贈しています。
地球環境問題を企業として取り組まなければならない重要課題のひとつとして捉え、さまざまな活動を推進しているソニー生命保険。太陽光発電の寄贈を始めとする取り組みについて、社会貢献推進室長の森下さんは、次のように話しています。
森下さん「環境保全活動の一環として、当社では、ご契約時にお客さまにお渡しする『ご契約のしおり・約款』について、従来の『冊子版』に加え、2010年3月より『CD-ROM版』(2020年12月をもって廃止)、2017年7月より『WEB版』の交付を開始しました。これにより、ご契約者には『冊子版』のほかに、『CD-ROM版』や『WEB版』を選択していただくことが可能となり、使用する紙の量も削減できるようになりました。
これらを希望されたお客さまの数に応じ、削減された紙資源の費用および印刷関連費用の一部を積み立てて、『そらべあ基金』へ寄付を行っています。この取り組みに多くのお客さまからご協力いただいた結果、集まった寄付金をもとに、太陽光発電設備『そらべあ発電所』を『そらべあ基金』を通じて、全国の幼稚園や保育園などに寄贈しています。
なお、ソニー生命保険と同じくソニーフィナンシャルグループの一員であるソニー損害保険でも、同基金の活動に参加しています。
ソニー損害保険は、お客さまのカーライフをサポートする自動車保険を主力商品のひとつとしています。自動車は、私たちの生活に豊かさと便利さをもたらしてくれますが、一方で、走行中に排出される排気ガスが、地球温暖化を進行させていることも事実です。
だからこそ、少しでも地球温暖化の防止につながる活動を推進していくことが社会的責任であると考え、2009年から『そらべあ基金』と協同で、『幼稚園にソーラー発電所を☆プログラム』を運営し、これまでに34基の『そらべあ発電所』を寄贈しました。この取り組みにより、2009年~2020年までの期間で、57万5492kWhの発電量と288.53トンのCO2削減を実現しています(注2)」
(注2)CO2削減量は、環境省が発表している「電気事業者別排出係数(代替値)」に基づいて算出。
再生可能エネルギーに関して、ソニー生命保険ではどのような取り組みを進めているのでしょうか。
森下さん「地球温暖化防止に向けたCO2排出削減策の一環として、2005年度からグリーン電力証書システムを導入しています。これは、風力や太陽光・木質バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電気(グリーン電力)の環境価値を証書化して取引するもので、間接的にグリーン電力を使用したとみなす仕組みです。
2021年度よりトラッキング付FIT非化石証書(注3)へ切り替え、約81万kWhの非化石証書を導入しました。これにより、当社が排出するCO2排出量に対して、約407トン(注4)のCO2排出削減に寄与したことになります」
(注3)固定価格買取制度(FIT)対象の再生可能エネルギー電源で発電された電気について、非化石価値を分離した証書にしたもので、証書の由来となった発電所を明らかにしたもの。
(注4)東京電力エナジーパートナー(株)の2020年度調整後排出係数(0.000443t-CO2/kWh)、北海道電力(株)の2020年度調整後排出係数(0.000550t-CO2/kWh)を使用。
森下さん「当社では、『ソニーグループ環境ビジョン』のもと、ソニーフィナンシャルグループとしての環境方針を掲げ、ソニーグループ全体の再生可能エネルギー化100%に貢献しています。今後もソニーグループの一翼を担う企業として、さまざまな取組みをしていきたいと思います」
持続可能な社会の実現に欠かせない再生可能エネルギー。地球環境保全に取り組む企業の寄贈など、さまざまな協力や支援によって導入が進んでいます。
なお、環境省の再生可能エネルギー情報のポータルサイト「再エネ スタート」では、「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指して、さまざまな企業、自治体が取り組む最先端の事例を紹介しています。今回取り上げた企業以外の事例を知りたい人は、こちらをご覧ください。
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