「市場参加者はいま、甘い期待の修正を迫られている」
こうした結果をエコノミストはどう見ているのか。
ヤフニュースのコメント欄では、ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト渡辺浩志氏は、
「FRBのパウエル議長はかねてより財インフレが沈静化に向かい、家賃インフレが年後半に急落すると認識しつつ、非住居サービスのインフレの粘着性に警戒を示してきました。
その背景は人手不足と賃金上昇です。大手ハイテク企業で万人単位の人員削減が相次ぐ昨今ですが、米国にはまだ1100万人もの求人があります。リストラされてもすぐに他企業に再就職できる状況で、失業率はむしろ低下。それゆえFRBは政策金利を5.125%まで引き上げ、年内はそれを維持する方針です」
と説明。つづけて、
「市場参加者が期待する早期利下げに応じれば、インフレが再加速しFRBは6%を超えるような厳しい利上げに追い込まれる恐れがあります。そうなれば米国経済は深い傷を負うことになるでしょう。
そんな最悪の結末を避けるため、FRBはインフレ収束の道筋がはっきりするまでは、多少景気を犠牲にしてでも金融引き締めを続ける公算。市場参加者はいま、甘い期待の修正を迫られています」
と、市場の楽観論を戒め、FRBの利上げは当分続くとの見通しを示した。