公認会計士資格の誤表記問題
「週刊エコノミスト」(2023年2月21日号)の特集は、「大淘汰時代の幕開け 選ばれる税理士・会計士」。企業の決算書類の正確さを保証する会計士と税務のプロの税理士が、大きな曲がり角に立たされているという。
日本公認会計士協会が昨年12月26日、「公認会計士資格の適切な表記と集計の要請について」と題した会長声明を出したことを取り上げている。
4大監査法人の1つ、有限責任監査法人トーマツが、監査先向けに提出している書類に、公認会計士登録をしていない職員を公認会計士として記載していた事実が明らかになっていたからだ。監査先は有価証券報告書の訂正報告書提出を余儀なくされた。
これを受け、協会は上場会社の監査を担当する全135の監査法人および会計事務所に対し、点検を要請。その結果、誤表記があった事務所は18。誤表記は氷山の一角、ミスで済むレベルではない事例もあり、会計士資格への敬意が失われているのではないかと指摘している。
ほかに、負担が激増し混乱必至のインボイス制度、クライアントの選別が進む4大監査法人などの記事が目を引いた。税理士・会計士の間違いない選び方も紹介している。
◆日銀総裁人事めぐる報道
特集ではないが、日銀総裁人事を巡る記事について、触れておこう。2月6日、日本経済新聞が「政府が雨宮正佳・日銀副総裁に総裁就任を打診した」と報じたことに触れ、「週刊エコノミスト」では雨宮氏が「フリードマンの教えをどう生かすのだろうか」と結んでいた。
「週刊ダイヤモンド」もこの次期総裁就任打診報道を取り上げ、「異次元緩和修正の舵取り」役として、雨宮氏が適任だ、と書いていた。
ところが、日銀人事で動きが出たのは10日。ここで、植田氏の名前が挙がった。
その後、政府は14日、共立女子大教授の植田和男氏を総裁候補として国会に提示した。両誌とも記事の差し替えが間に合わなかったのだろうが、「人事は怖い」というメディア業界の「格言」の重みを久しぶりに味わった。(渡辺淳悦)