外国人観光客、全国旅行支援の追い風の中、伸び悩み
「物足りない結果だ。先行きもゼロ%台の低成長にとどまる」と指揮するのは、第一生命経済研究所シニアエグゼクティブエコノミストの新家義貴氏だ。
新家氏は、リポート「2022年10~12月期GDP(1次速報値)~プラス成長も、期待外れ。先行きも低成長が続く見込み~」のなかで、実質GDPのグラフ【図表1】を示しながらこう指摘した。
「2四半期ぶりのプラス成長とはいえ年率プラス1%を割り込む低成長にとどまっており、7~9月期のマイナス成長(前期比年率マイナス1.0%)分を取り戻せていない。インバウンド需要の急回復や全国旅行支援開始、サービス輸入の反動減といった強い追い風があった割には伸び悩んだと言ってよいだろう。つい1か月前には年率プラス3%台の高成長がコンセンサスだったことを考えると、期待外れといった印象である」
「コロナ前である2019年平均と比較しても、マイナス0.9%ポイント低く、まだ経済活動正常化が実現していないことが確認できる」
今後の2023年1~3月期はどうなるのか。新家氏は「好材料と悪材料が入り混じるなか、前期年率でゼロ%台の低成長にとどまる」と予想する。
その要因として、「プラス材料」は、インバウンド需要の回復とサービス消費の改善だ。物価高の悪影響を受けつつも、個人消費は緩やかな増加を続けるだろう。特に、日本は諸外国に比べてコロナ禍からの回復が遅れていた分、回復余地が残されている点は好材料だ。
一方、「悪材料」は輸出の悪化だ。日本の輸出は、世界の製造業部門の動向に大きく左右されるが、世界的な金融引き締めの悪影響が本格化すると、世界の製造業部門に下押し圧力が強まることが予想される。先行性のある新規受注が大幅に悪化するなど、輸出が下振れる可能性が高い。
新家氏は、こう指摘する。
「コロナ禍からの正常化に向けた回復の流れが続くことから、国内における景気回復の動きが頓挫するとまではみていないが、2023年前半の景気は輸出悪化を背景として減速感が強まると予想している」