「日本経済は一進一退の状態から抜け出せずにいる」
こうした結果をエコノミストとはどう見ているのか。
日本経済新聞オンライン版(2月14日付)「日本のGDP年率0.6%増 10~12月、2四半期ぶりプラス」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」では、慶應義塾大学総合政策学部の白井さゆり教授(国際経済学)が、
「10~12月期の経済成長率は予想よりもかなり低かったと思います。消費はサービスを中心に拡大しており比較的堅調でしたが、設備投資がマイナスになったことが予想よりも悪い結果となった原因だと思います」
と指摘。そのうえで、
「全体として年率0.6%の成長率を支えたのは、消費と純輸出の改善にあり、純輸出は輸入の減少によるものなので非常に良い結果とはいえません。前向きの動きとしては、外国人観光客の増加によりサービスの輸出が2四半期改善している点は指摘しておきたい」
と、インバウンドの増加に期待した。
「日本経済はトンネルから抜け出せずにいる」と指摘するのは、ニッセイ基礎研究所経済調査部長の斎藤太郎氏だ。
斎藤氏はリポート「QE速報:10~12月期の実質GDPは前期比0.2%(年率0.6%)-2四半期ぶりのプラス成長も、7~9月期の落ち込みを取り戻せず」(2月14日付)のなかで、こう述べている。
「10~12月期はかろうじてプラス成長となったものの、7~9月期の落ち込みを取り戻すには至らなかった。実質GDPは約2年にわたってプラス成長とマイナス成長を繰り返しており、日本経済は一進一退の状態から抜け出せずにいる」
そして、今後についてはこう予測する。
「2022年10~12月期の実質GDPは、コロナ禍前(2019年10~12月期)の水準を1.0%上回ったが、消費税率引き上げ前のピーク(2019年7~9月期)はマイナス1.8%下回っている。経済の正常化にはまだかなりの距離がある」
「2023年1~3月期は、民間消費、設備投資などの国内需要は底堅い動きとなる一方、欧米を中心とした海外経済の減速を主因として輸出が減少に転じることから、現時点では年率ゼロ%台の低成長を予想している」