日産とルノー、いびつな「不平等」ようやく解消...仏政府も支持 熾烈なEV化競争の渦中、勝ち残り容易でなく

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   日産自動車に対するフランス自動車大手ルノーの出資比率に関する交渉がようやく決着した。合意に至る過程はなかなか複雑だった。

   三菱自動車を含む3社連合は維持されるが、自動車業界は大きな転換期にあり、勝ち残るのは容易ではない。

  • 日産とルノー、資本関係の見直しが決着
    日産とルノー、資本関係の見直しが決着
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フランス会社法の規定で議決権がなかった日産

   J-CAST 会社ウォッチ「日産とルノー、資本関係見直し...日産が求める『不平等解消』へ、協議進んだ『2つの要因』と『今後の交渉ポイント』」(2022年10月28日付)でも報じたとおり、2022年秋に入り、日産とルノーの交渉は大詰めを迎え、11月にも合意すると見られていた。だが、予定より3か月ほど遅れて合意に達し、23年2月6日、3社首脳がロンドンでそろって記者会見して発表した。

   合意は、仏ルノーから日産への出資比率を、現在の43%から、日産が保有するルノー株の比率と同じ15%に引き下げ、互いに対等な資本関係にする。そのほか、ルノーが設立するEV新会社「アンペア(アンペール)」に日産が最大15%出資。さらに、中南米やインド、欧州で新型車やEV投入の検討など、共同プロジェクトを進めることなどが盛り込まれた。

   最大の眼目である出資比率の「平等化」には、昨秋の記事でも取り上げたように、「歴史」がある。

   2兆円超の有利子負債を抱え経営危機に陥った日産は1999年、ルノーから約6000億円の資本支援を受け、カルロス・ゴーン元会長が最高執行責任者として送り込まれた。ゴーン氏は、大リストラを断行して経営を立て直し、2016年には燃費不正問題で経営が悪化した三菱自動車に日産が出資し、3社連合となった。

   両社の株の持ち分は、ルノーが日産の43%、日産がルノーの15%を、それぞれ持ち合う形になったが、日産はフランスの会社法の規定で議決権がなかった。ところが、業績面では22年の世界販売台数が日産322万台、ルノーグループ205万台というように、日産が上回るいびつな関係が続き、日産には「不平等条約」との不満が強かった。

   日産とルノーのトップを兼ねるようになったゴーン氏が2018年に東京地検特捜部に金融商品取引法違反疑いで逮捕(日本からレバノンに逃亡し、刑事訴追は停止中)され、両社の関係は混乱する。

   19年にはルノー株を15%保有する仏政府の意向を受けたルノーが日産に経営統合を提案、日産の強い反発で白紙に戻るなど、ぎくしゃくした関係が続いていた。

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