きょうは30代のJさんがいらっしゃっています。
「最近、Z世代の部下が増えてきて時間に対する「価値観」の違いを感じます。タイムパフォーマンス(時間対効果)の略語「タイパ」を重視する人が増えているんですね。マーケティングにもZ世代の消費行動に対する分析は必要なので、私たちY世代もタイパを重視する必要性もあるのかなと考えています。実際、タイパってどうなんでしょうね」
時間の有効活用を考える「タイパ」とは
お金の有効活用を考える「コスパ(コストパフォーマンス)」よりも、時間の有効活用を考える「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する考え方がZ世代を中心に増えてきています。「映画やドラマの倍速視聴」の流行から「タイパ」がトレンドワードにもなりました。そのほかに、タイパを意識した行動例として以下があります。
・タイパが悪い飲み会には参加しない
・就活のタイパをあげるために説明会動画を倍速で見る
・ミーティングのタイパをあげるために、質問事項を整理しておく
ネット環境があたりまえになった時代、私たちが受け取る情報量は20年前の約6000倍だそうです。触れる情報量が年々増えているので、それだけ時間を意識する気持ちもわかります。
自動で掃除、車も自動運転に向かっている時代の中で、忙しさを減らすためにあらゆる世代でタイパにつながる行動はされていますよね。このようにビジネスやプライベートのシーンでタイパを意識する人は増えています。
物事を「こなす」「さばく」だけではなく...
しかし、Z世代のタイパには時間の有効活用の側面以外の目的もあるようです。たとえば、ドラマを見る前にサイトであらすじを読んでから、倍速で見たり結末だけ見たりする行動は
「内容を知っておかないと時代に遅れる」
「友達との話題についていけなくなる」
など、単に作品を多く楽しむことが目的でなく、属しているコミュニティとの関係を保つためといった理由もあげられるんだそうです。
「自分が見たい作品がたくさんあるから倍速で見るのではなく、あまり興味はない作品だけど、話題のために見なければならない」...このような理由なんですね。このように、ただ物事を「こなす」「さばく」ための時間の使い方になってしまうのは、何か違うかなと思います。
ゆっくりと読みたい本を読む時間、見たい映画を映画館でゆっくり見る時間って、とっても贅沢です。「映画を見て感動して涙する時間」「なぜ主人公はあのセリフを口にしたのかと想像、発想する時間」はとても大事だと思います。
Jさんもただタイパを重視するのではなく、何のために時間を有効活用するべきかと考えてみるといいかもしれないですね。
まわり道こそが成長につながる
Z世代には「まわり道をしないで、最短の道を選びたい」といった価値観があるそうです。
たとえば、「一発で好きなことを見つけたい」「いち早く自分に合った仕事に出会いたい」といった思いも強いそうです。
・やったことがないことに挑戦することでできることが広がる
・興味がないことに触れることで好きなことが見つかる
・まわり道をしたからこそたくさん経験できる
一見ムダだと思う行動の中に、実はチャンスが紛れていたりするのです。以前、芸能人が失敗したこと、しくじったことを話す番組がありましたが、失敗をたくさんして乗り越えた経験は魅力的でしたよね。
企業が消費者のタイパを意識したマーケティングを行なったことで、採用が増えたり、売り上げが上がったりするのは確かなことです。タイパ自体は悪いことではありませんが、あまりにも意識しすぎると上記のようなチャンスを逃してしまうことがあります。
Jさんも自分にとって「タイムパフォーマンスがいいとはどのような状態なのか?」を考えてみてはいかがでしょうか。(ひろ子ママ)