ソニーグループが社長交代を発表した。2023年2月2日、副社長兼最高財務責任者(CFO)の十時(ととき)裕樹氏(58)が4月1日付で社長兼最高執行責任者(COO)兼CFOに昇格する。社長交代は5年ぶりだ。
とはいえ、吉田憲一郎会長兼社長(63)は代表権のある会長になり、最高経営責任者(CEO)も引き続き兼務するから、「トップ交代」ではない。新聞各紙も「2トップ」「体制強化」と報じる新体制で、ソニーはなにを目指すのか。
期待される事業環境の変化への対応、吉田CEO路線の強化
社長交代の発表会見で、吉田氏は十時氏について「外部環境を俯瞰した戦略的な視点を持った彼から私も多くの気付きと学びを得てきた」と、次期社長に推した理由を説明した。
今回の人事が「地政学リスクやテクノロジーの変化」など事業環境の変化に対応するものとの認識を強調した。
十時氏は「ソニーのDNAでもある事業や人材の多様性を進化させ、成長し続ける会社を目指したい」と意気込みを語るとともに、「まずは中期経営計画をしっかり仕上げる。基本的には今の事業をそれぞれ強くしていく方向で考えている」と述べた。
両氏の発言は、事業環境の変化を踏まえ、これまでの吉田氏が進めてきた路線をさらに強化し、推進していくということになる。