「ダイバーシティ推進企業は建前ですか?」リアリティショックに落胆する新入社員...どう話す?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE22(後編)】(前川孝雄)

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たとえば、上司はこんなふうに話してみよう【対話例】

   新入社員から預かった疑問や質問への答えの宿題は、長らく放置してはいけません。上司自身の内省をもとにショックの内容を整理し、さらに対話を行い、新入社員が仕事の現実をとらえなおし、自分なりに幅広く考える力をつけられるようにサポートしていきます。

   その際、新入社員の感じ方に誤解があるのか、誤解ではないがとらえ方が一面的なのか、むしろ組織としての課題なのかを客観的に判断し、対話の仕方を考慮することも必要です。以下に、判断と対応の例を挙げておきましょう。

【新入社員の側に誤解がある場合】
「指摘には〇〇の点で誤解があると思うので、まずその点を〇〇ととらえなおしてみてほしい。そのうえで、さらによい意見やアイデアがあれば、ぜひ聞かせてほしい」
【とらえ方が一面的な場合】
「指摘の状況は〇〇の面では確かだが、もう一方で〇〇の側面もある。その両面を考慮すれば、もっと良い対応方法やアイデアがあるのでは...。どんな工夫ができるか一緒に考えよう」
【組織としての課題の場合】
「指摘は確かに一理ある。まだ組織が古い考え方から変わり切れていない部分だ。自分も〇〇に向けて少しずつ改善していきたいので、ぜひ一緒に力を貸してほしい。あなたの意見や提案も聞かせてほしい」

   新入社員の立場からは、自分に誤解や一面的なとらえ方があっても、それを埋めるための対話や助言の機会を得られること。また、自分のショックが正しいと感じても組織がすぐに受け入れてくれない時に、上司が前向きに受け止め、共に改善策を考えてくれる...そうした安心感を得られること。それが、新入社員がリアリティショックを自分の学習材料として前向きに受け止め直し、今後の糧にする力になるのです。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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