「期待外れ」への落胆と不信
しかし、実際の職場では、どうでしょうか。以前からの社内慣行や、旧態依然とした職場風土、また組織内外の環境変化、営業目標に汲々とせざるをえない現状などもあるでしょう。
上司世代は「給料をもらっている分、あれこれ言わずに働くもの」「企業なのだから利益追求は当たり前」という認識のもとで働いてきた場合が多いもの。悪気はないものの、自らも忙しい中で仕事の指示を飛ばすばかりになりがちです。人材育成の制度や仕組みはあれども、どうしても短期的な業績目標を追いかけることに終始してしまうのです。
期待を抱き入社した新入社員が、こうした現状に直面すると、「顧客・社会への貢献は謳い文句だけ?」「いったい、誰のため、何のための仕事?」「社員の育成や活躍支援はどこにあるのか?」と落胆し、職場への不信感を抱きかねません。純粋な気持ちで会社の理念・方針に期待していた度合が強いほど、そのギャップへのショックも大きくなるのです。
以上を踏まえたうえで、リアリティショックに落胆する新入社員をどう受け入れ、育てるか。<「ダイバーシティ推進企業は建前ですか?」リアリティショックに落胆する新入社員...どう話す?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE22(後編)】(前川孝雄)>で、解説していきます。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。