本書の読みどころは?
最後に、本書の読みどころを挙げてみます。
京都弁には「はんなり」と言われる独特の響きがあります。「はんなり」は、華やかで上品さを兼ね備えている様子をあらわします。著者のイメージが伝わりやすいように、ところどころに「はんなり」の要素が使用されています。また、独特のイントネーションを伝えるために「ひらがな」を多用しています。
たとえば、「注ぐ」→「よそう」と表現するなど、標準語とは明らかに異なる言葉が使用されている箇所がありますが、それが独特な味わいを醸し出しています。このあたりの仕掛けの面白さをぜひ味わってください。
京都花街の世界で知り得た処世術とはなにか。チャンス、商機、人の心を掴んで離さない、そのような人物評価を知りたい人にとって最適な一冊といえます。(尾藤克之)