入居時に家の中の原状を写真に撮り、記録を残す
そこで、国民生活センターではこうアドバイスしている。
(1)賃貸借契約をする前に、貸主側からの説明をよく聞き、内容をよく理解した上で契約する。契約書類は、契約後に借主に不利な条件を見つけても、条件変更は難しい。
そこで、国土交通省が示している賃貸借契約書のひな形「賃貸住宅標準契約書」や、貸主と借主のどちらが原状回復費用を負担すべきかの基準を示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と、契約書類を見比べて、違っている箇所はよく読んでおく。
特に、禁止事項や修繕に関する事項、退去する際の費用負担に関する事項は丹念に読もう。
たとえば、「ハウスクリーニング費用は全額借主負担」などとガイドラインの「賃貸人・賃借人の修繕分担票」とは異なる内容が特約で定められている場合があるので、要注意だ。ガイドラインでは、ハウスクリーニング費用は賃貸人の負担が原則なのだ。
(2)入居する時には、住宅の現状をよく確認し、記録に残しておく。あちこちにキズや汚れがないか、エアコンなど備え付けの設備がきちんと動作するかなど、できる限り貸主側と一緒に写真を撮ったり、メモを取ったりしながら、住宅の隅々を点検しておく。
貸主側がチェックシートを用意している場合は、項目をしっかり確認しながら記入し、大切に保管する。上記ガイドラインの中にもチェックシートのひな形が公開されているので活用しよう。
(3)入居中にトラブルが起きたら、すぐに貸主側に相談する。エアコンや給湯器など設置されていた機器に不具合や故障が起こった場合や、雨漏りや水漏れなどは起きた場合は、すぐに貸主側に連絡、相談する。こうした修繕は、原則として貸主に義務がある。貸主側に無断で修繕を行うと、退去時の精算の際にトラブルになる可能性がある。
また、窓際の結露を放置してカビを発生させると、退去時に清掃費用を請求される可能性があるため、貸主側に状況を報告した上で、適切に管理しよう。
国民生活センターではこう結んでいる。
「賃貸住宅はあくまで借りているものであることを意識し、日頃からできるだけきれいに使うことを心がけましょう」
(福田和郎)