士業の中では女性比率が高い
フリーアナウンサーから司法書士に転身した藤井美穂さんの体験が参考になるだろう。音大を出てフリーアナウンサーだった藤井さんは、30歳を目前に、所属事務所から、得意分野を持つか、資格を取ることを求められた。
気象予報士の講座を申し込み、教材が届いたが、まったく興味が沸かずに断念。次に、行政書士に目を付けた。独学で行政書士の試験はクリアしたが、司法書士試験は難関だ。
予備校に入り、勉強した。知識がない分、予備校講師の講義が素直に耳に入ってきて、司法書士に特化した対策ができたという。
合格して、予備校のチューターとして1年間勤務した後、パートタイムで週3日、司法書士法人に7年間勤務。自宅の引っ越しにあわせて独立開業した。
「司法書士は、子どもの成長に合わせて働き方を選べる資格です。そしてこの資格は一生ものです。少しお休みしても、復帰することは難しくありません」
このほかに、アパレルや証券会社で派遣社員として働きながら勉強を続けて、5年後に合格。たまたま入所した事務所を引き継ぐことになり、10カ月後に独立した女性らの体験も寄せられている。
本書に登場する10人のうち5人が女性で、女性の割合が多いと感じた。全国の司法書士は2万2632人いて、女性は3972人で17.6%を占める(2020年)。司法書士の女性率は、弁護士や税理士といった他の士業の中でも高いそうだ。