「ウィズコロナ」「アフターコロナ」の時代に向けて、企業は営業戦略の再構築を急いでいる。なかでも中小企業にとって、「大手企業との取引をつかむこと」が販路拡大、売り上げアップへの近道だ。そのためにやるべきことはなにか――。
「中小企業にはブランディングこそ大事だ」と断言する元サッポロビール飲料(現ポッカサッポロフード&ビバレッジ)社長で、群馬大学などで教鞭を執る岡俊明氏に聞いた。
「ブランド力が大事なことはわかっている」...では、どうすればいい?
――「中小企業にこそブランディングが大事」なわけを教えてください。
岡俊明氏「ブランド力は、大手企業も中小企業も関係ありません。それに、ブランド力が大事であることは、中小企業の経営者もよくわかっていると思います。ブランド力はどんな小さな企業にもあるものです。
たとえば地方の小さな酒蔵のように、大手企業以上のブランド力をもっている中小企業はたくさんあります。商品だったり、技術力だったり、伝統だったりと、それが企業の信用であり、価値。つまり『ブランド』なのです。
酒蔵でいえば、おいしさもブランド力を構成する一つです。では、なぜおいしさが求められるのでしょう。それは、お客様に喜んでもらいたいから。暮らしを豊かにしてもらいたいから。もっと言えば、おいしいお酒で社会に貢献したいからでしょう。お客様に知ってもらい、信用力がついて商品価値が上がっていき、企業価値も上がる。ブランド力を高めるとは、そういうことです」
――ブランド力を高めることの重要性が増してきているようです。
岡氏「企業が生き残っていくには、商品やサービスを日々ブラッシュアップしながら提供し続けなければなりません。それは大手企業も、中小企業も同じですよね。
しかし現代では、自社だけのノウハウ、スキルだけではとてもじゃないけど、すべてをまかなうことができなくなってきた。これからはいろんなジャンルで、さまざまな企業とコラボレーションしながら生きていかなければならない時代なのです。こうした場面では、強いブランド力、信用力のある企業が選ばれていきます。ブランド力を高める重要性が増しているのは、競争が激しい時代だからこそなのです」