全額転嫁できた企業でも、連合が目標に掲げる5%に遠く及ばず
ただ、価格上昇分の価格転嫁を全額できた企業は、今回の調査では全体の4.3%(103社)しかない。価格転嫁ができた企業は、賃上げ原資を確保できていることを示しているが、実際は十分な価格転嫁ができている企業は圧倒的に少なく、このことも賃上げが進まない一因になっている。
東京商工リサーチではこうコメントしている。
「分析結果からは、賃上げのためにも価格転嫁の重要性が高まっていることが浮かび上がる。物価高は止まらず、世間の賃上げ圧力は高まっている。『ない袖は振れない』のだから、賃上げ実現には中小企業の価格転嫁を促す政府の後押しも欠かせない。
一方、全額転嫁できた企業でも、2022年度の平均賃上げ率(3.9%)は、連合が目標に掲げる5%には遠く及ばない。価格転嫁ができている企業にも、もう一歩踏み込んだ業績向上策が必要だ。これまでの発想では、コロナ禍の賃上げは容易でない」
(福田和郎)