「Engagement広告費」の急減でどうなる?
ウォンテッドリーの株価は、上場した2017年に4320円の高値をつけ、さらに2019年には5770円を上場来高値を更新したことがありました。しかしその後は1000円台が続き、2021年1月には1020円まで下落。その後は徐々に回復していますが、2023年1月は2000円から3000円あたりを大きく変動しています。
ウォンテッドリーは、代表取締役の仲暁子氏と取締役の川崎禎紀氏が上場時の常勤取締役を務めていましたが、川崎氏が2022年11月に退任し、代わって恩田将司氏が取締役に就任しています。なお、仲氏は発行済株式の69.26%を所有しており、筆頭株主の持株比率が非常に高いのが特徴です。
事業等のリスクには「当社グループが運営するサイトの利用者のうち一定の割合は、特定のソーシャルメディア(「Facebook」、「Twitter」)からの流入」であり、何らかの要因によりこれまでの連携が有効に機能しなかった場合や、今後の連携が限定された場合、「当社グループサイトへの流入が想定を下回り」業績に重大な影響を及ぼす可能性がある、と記載されています。
決算説明資料の「販売管理費の四半期推移」を見ると、営業利益が大きく増加した2022年8月期の第3四半期以降、「Engagement広告費」が急激に減少していることがわかります。
「Engagement広告費」とは、FacebookやTwitterなどのSNS広告で採用されており、広告に対してユーザーがエンゲージメント(たとえばTwitterであれば、広告ツイートの「リツイート」や「いいね」)を起こしたタイミングで広告費が発生します。これが減少しているということは、エンゲージメントが下がっているということになります。
SNS広告そのものを減らしているのか、Twitterの混乱等により広告効果が上がりにくくなっているのか、いずれの理由か分かりませんが、ビジネスに大きな影響をもたらすポイントでもあり注目したいところです。ただし現状では、営業収益の減少にはつながっていない模様です。(こたつ経営研究所)