夢の億万長者を目指して、一攫千金を狙う「宝くじ」――。
2023年2月1日から発売が始まった「バレンタインジャンボ」の当せん確率を、マジメに研究したニッセイ基礎研究所の主席研究員、篠原拓也さんのレポートが気になる。
「1等前後賞合わせて3億円」を狙うバレンタインジャンボを買うか。それとも、「1等前後賞合わせて3000万円」だが、2等以下の当せんへの期待が高まるバレンタインジャンボミニを買うか。
どちらを、どのように買えば当たるのか──。さあ、どうする!?
ここに注目!「宝くじを売る側にも狙いがある」
「今年の吉兆の方角は南南東だ」
「バラで買うより、連番で買ったほうが当たりやすい」
「東京・銀座のあの店で買うと当たる!」
「縁起のいい一粒万倍日の、あした買いに行くわ」
......。当せん確率をアップしようと、宝くじをあれこれ研究しながら購入する人は少なくない。
ニッセイ基礎研究所の篠原拓也さんは、ご自身でも宝くじを購入するファンの一人。J-CAST会社ウォッチの取材に、
「年末ジャンボ宝くじは毎年買っていますよ。昨年末も買いました。7等が当たっただけでしたが......。なかなか(研究の)成果は表れませんね」
と、苦笑いする。とはいえ、
「宝くじを売る側にも狙いはあるものです。それを汲み取って買うことで当たる確率を上げることはできるかもしれないですね」
と話す。
駅前などの利便性のよい場所にある宝くじ売り場やインターネットで手軽に買える「ロト」や「ナンバーズ」など、宝くじにもいろいろあるが、年5回の「ジャンボ宝くじ」は1等の当せん金が大きく、しかも全国どこの売り場でも購入できるため、人気が高い。その第1弾が2月の「バレンタインジャンボ」だ。
篠原さんによると、じつは今回のバレンタインジャンボは、「当せん金や当せん確率などが昨年のものと同じ内容となっている」という。研究では、その内容を確認しながら、今回はどう狙ったらよいかを考えた。
バレンタインジャンボには、年末ジャンボ宝くじと同様「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞合わせて3億円」のうたい文句で販売されるのが、バレンタインジャンボ。バレンタインジャンボミニの当せん金の最高額は1等前後賞合わせて3000万円だから、「ミニ」でも当たれば、高額当せん者(1000万円以上)の仲間入りとなる。
バレンタインジャンボは1万円以上の当せん本数が2割以上増えた
篠原さんは、バレンタインジャンボの当せん確率に着目した。
「もっとも注目すべきは、5等1万円の当せん確率が0.4%と、かなり高い点だ。昨年末に発売された年末ジャンボ宝くじでは、この確率が0.3%だったことと比べても高い確率となっている」(篠原さん)
そう指摘する。
1万円以上の当せん金が受け取れる確率は、年末ジャンボでは0.31123%だったが、今回のバレンタインジャンボでは0.41165%へと引き上げられている。
つまり、バレンタインジャンボは「1等前後賞合わせて3億円」の高額当せんを狙いつつ、「1万円以上の当せん確率も、昨年の年末ジャンボより大幅に増大した宝くじ」と位置づけられるわけだ。
このことから、篠原さんは「『当たるうれしさ』を多くの人に味わってもらうことが、今回のバレンタインジャンボの特徴と整理できます」と言うのだ。ただし......。
「平均的には、くじを243枚買えば、1万円以上の当せんが1本出る確率です。243本買うと7万2900円が必要なため、1万円が1本当たるだけでは持ち出しになってしまいます」(篠原さん)
しかし、ここであきらめてはいけない!
もう一方のバレンタインジャンボミニは、バレンタインジャンボと違って、当せん金の最高額は1等前後賞合わせて3000万円にとどまるが、その分、2等以下の当せんの期待は大きくなるように設定されている。
ミニは1万円以上の当せん確率がジャンボより、さらに高い
篠原さんの研究によると、「ミニ」は1万円以上が当たる確率が0.42115%で、バレンタインジャンボを上回る当せん確率になっているというのだ。平均的にいうと、くじを238枚(7万1400円分)買えば、1万円以上の当せんが1本出る計算だ。
「ここで真に注目すべきなのは、3等5万円の当せん確率が0.02%と高い点です。これは、バレンタインジャンボの4等5万円の当せん確率(0.01%)の2倍となっています。その結果、ミニは5万円以上が当たる確率が0.02115%となっており、バレンタインジャンボの同じ確率(0.01165%)を大きく上回っているのです」(篠原さん)
これが今回のミニの特徴で、「ミニは当せん金1万円以上、特に5万円以上を狙うためのくじといえるでしょう」と、みている。
ただし、ミニの当せん金の平均受取額は135円と、バレンタインジャンボより少ないことも現実。買うときには、注意したほうがよい。
このように、篠原さんの研究から導き出された「買い方」は、「3億円の高額当せんを狙いたい」のであれば、1等が当たる確率が1000万枚に1本で、年末ジャンボ(2000万枚に1本)に比べて2倍に設定されているバレンタインジャンボがオススメ。
一方、「5万円以上の当せんを目指す」のであれば、ミニを買うのがよいといえそう。これが、それぞれのくじの特徴をつかんだ買い方なのだ。
縁起を担いで「大安吉日」「寅の日」「一粒万倍日」に買う?!
もう少し、考えてもみよう。
「宝くじ」の公式ホームページには、2021(令和3)年度の1年間に宝くじで1000万円以上の当せん金を受け取った高額当せん者(数字選択式宝くじでの当せん者を除く)を対象にした調査(390人が回答)の結果がまとまっている。
宝くじ長者が、くじの買い方や買うときにどのような「こだわり」をもっていたのか、その傾向がうかがえる。
調査によると、宝くじの購入歴では「10年以上」の人が292人(75%)と断然で、一方でビギナーズラックはほとんどなく「今回が初めて」と答えた人は2人(1%)。「継続が幸運を呼ぶ」ということらしい。
また、「日ごろ、宝くじを何枚ぐらい買っていますか」の問いには、男性は「30枚」(54人、21%)、女性が「10枚」(43人、31%)で、それぞれ最多。
購入頻度は、「ジャンボ宝くじのみ」を買っている人が132人(34%)と最も多く、2位の「年数回」が92人(24%)で、合わせて全体の約6割を占めた。「ほぼ毎回買う」という熱心な人も38人(10%)いた。
「連番」で買うか、「バラ」で買うかも迷うところだが、自分なりに「連番・バラの割合にこだわって買った」という人は82人(21%)で最も多かった。
買う人の「こだわり」がいちばん表れそうなのが、売り場かもしれない。「高額当せん者が出た」と評判の売り場には、それにあやかろうと長い列ができたりする。
ところが、売り場を選んだ理由で最も多かったのは「いつも買っているから」で、205人(53%)が答えた。じつは浮気せず、「いつもの売り場」を大事にするのが当せんへの近道かもしれない。「出かけたついでに」買う人も、115人(30%)いた。
さらには、「良い事があった時」に宝くじを買う人(52人、13%)や「お参りにいく」(41人、11%)ついでに買うなど、何らかの「縁起」を担いだ人は約8割にものぼる。
日や時間、方位なども気になるところ。新しい仕事や開店、投資など、なにかを始めるのに良い日とされる幸運の「一粒万倍日」。
バレンタインジャンボが発売されている今年2月は、12日(日)と24日(金)。また、金運アップの「寅の日」は13日(月)と25日(土)。同じように金運・財運が上がるとされる「巳の日」は16日(木)と28日(火)。「大安」は13日(月)、23日(木)、3月1日(水)だ。
今年のバレンタインジャンボ宝くじの販売は3月3日が最終日。いろいろ考えて、ワクワク感を味わいつつ、縁起のいい日を狙って買うのもいいかもしれない?
◆参考リンク:
コラム「バレンタインジャンボ どう狙う?-一攫千金か、それとも5万円以上の当せん金か」(ニッセイ基礎研究所 2023年1月31日付)
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=73763?site=nli