2030年には全国の35%の荷物が運べなくなる試算も
コロナ禍による巣ごもり需要などから、宅配を利用する人はここ数年、急増している。現状でもドライバーの数は逼迫状態にあるのに、規制が始まればいっそう厳しくなることは避けられない。
野村総合研究所の試算によれば、現状のままでは2030年には全国の35%の荷物が運べなくなるという。地方ではさらに厳しく、東北地方では運べない荷物が4割を越えるとも試算されている。
佐川急便の今回の値上げは、ドライバーらの待遇を良くして、人手の確保につなげたいというのが大きな狙いといえる。この事情は物流各社に共通している。同社の動きをきっかけに、値上げの波が広がる可能性は高い。
佐川急便は現在、大口顧客に対しても個別に値上げ交渉を行っているとされており、値上げ対象も拡大していく可能性がある。
荷主である企業や消費者の理解を得られるよう、物流各社がドライバーの待遇改善を実際にどう進めていくかも注目される。(ジャーナリスト 済田経夫)