今年前半まで減益局面が続く「GAFAM」が好転する兆しは?
米国経済を牽引してきたハイテク業界は今後どうなるのか。野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏は、「今年前半までは減益局面は続くだろう」と予想する。
石黒氏はリポート「見直し機運が高まりつつある米ハイテク株の行方」(2月7日付)のなかで、S&P500のハイテク業種のEPS(1株当たり利益)前年同月比の増減率の「グラフ【図表3】を示した。
これを見ると、2023年1~3月期までマイナスが続く予想だ。石黒氏はこう指摘する。
「米ハイテク大手のGAFAMが発表した昨年10~12月期決算は厳しい内容となりました。5社すべての純利益が前年同期比で減益となり、これはフェイスブック(現メタ)が上場した2012年以降で初めてのことです」
「米ハイテク企業の収益環境は厳しさを増しています。新型コロナウイルスの世界的な流行に伴う特需の反動や、世界的な景気減速の影響が業績を下押ししているとみられます」
「GAFAMの直近の従業員数は3年前より8割近く増えており、人件費を中心としたコスト負担増も業績の重しとなっていると考えられます」
石黒氏は、今年前半まで減益局面が続くとみられるが、その後は増益基調に回帰すると予想する。その理由は――。
「厳しい収益環境のなか、各社は人員削減に踏み切り、アップルを除く4社で合計5万1000人規模の削減計画を発表しました。今後はAI(人工知能)を始めとした成長分野の需要拡大も見込まれるなど明るい材料もあります。米ハイテク株の見直しが持続するためには、こうした取り組みが奏功し、収益環境が好転する兆しが今後の四半期決算で確認できるかが焦点となります」
(福田和郎)