救急車は約5.1秒に1回出動、国民23人に1人搬送...消防庁調査 12月、月曜日、午前10~12時の出動が多かった では、到着時間はどれくらい?(鷲尾香一)

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   消防庁は2023年1月18日、「令和4年(2022年)版 救急・救助の現況」を発表した。救急車の出動件数は前年比4.4%、搬送人員数も同3.7%増加したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響からか、新型コロナ前の2019年よりは出動件数、搬送人員よりも減少している。

事故種別の最多は「急病」で405万4706件(65.5%)

   2021年の救急車の出動件数は619万3581件と前年比で26万304件(同4.4%)増加、搬送人員数は549万1744人と同19万7914人(同3.7%)増加した。

   メディアが盛んに新型コロナの感染拡大による救急車不足や救急車による病院への搬送困難を喧伝した結果なのだろうか、ピークだった新型コロナ前の2019年の出動件数663万9767件、搬送人員数597万8008人と比較すると、新型コロナの影響により受診抑制が続いていることがわかる。(表1)

   2021年に救急車は1日平均では1万6969件(前年は1万6211件)出動しており、約5.1秒(前年は約5.3秒)に1回の割合で出動したことになり、国民の23人に1人(前年は24人に1人)が搬送されたことになる。

   救急車出動の事故種別では、最も多いのは急病で405万4706件(構成比65.5%)を占める。次いで、一般負傷の96万9130件(同15.6%)、交通事故の36万8491件(同5.9%)となっている。搬送人員数では急病360万5179人(同65.6%)、一般負傷87万9503人(同16.0%)、交通事故34万573人(同6.2%)の順。

   事故種別の構成比は例年同じだが、2021年は急病での出動件数が前年比5.3%増加、一般負傷の1.8%増、交通事故の同0.6%増を大きく上回った。

   これは、搬送人員数でも急病が同4.4%増、一般負傷が同1.5%増、交通事故は0.5%減となっており、発表では新型コロナ患者の搬送については触れていないが、その影響が出ているものと思われる。

   ちなみに、救急車の出動件数・搬送人員数では月別では12月、曜日では月曜日、時間帯では午前10~12時が最も多くなっている。

現場到着所要時間が初の9分台に 病院収容所要時間は約42分台

   さて、救急車と言えば、もっとも気になるのは、どれぐらいの時間で到着し、どれぐらいの時間で病院に運んでもらえるのかだろう。

   2021年中の救急車の現場到着所要時間(入電から現場に到着するまでに要した時間)は、全国平均で約9.4分(前年比0.5分増)となった。過去10年以上8分台で現場到着していたが、初めて9分台に突入した。

   また、病院収容所要時間(入電から医師引継ぎまでに要した時間)は、全国平均で約42.8分(前年比2.2分増)となった。こちらも、2020年に初めて40分台に乗り、2021年はさらに42分台に伸びている。(表2)

   現場到着所要時間も、病院収容所要時間も新型コロナが感染拡大した2020年から増加幅が拡大しており、新型コロナが時間増加の要因の一つになっているように思われる。

   ちなみに、救急車による搬送人員549万1744人のうち、医療機関等への受入照会回数が1回で決定したのは全搬送人員の80.1%で、2~3回は15.7%、4回以上は4.2%となっている。

   最後に救急車の現場到着所要時間のワースト10と病院収容所要時間のワースト10を都道府県別に取り上げると、岩手県、福島県、山梨県、茨城県、高知県が両方でワースト10入りしている。(表3、表4)

   救急車は生命の危機に際して、病院への搬送を担う重要な手段であり、救急車の運用がくれぐれも順調に滞りなく行われることを願うばかりだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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