消防庁は2023年1月18日、「令和4年(2022年)版 救急・救助の現況」を発表した。救急車の出動件数は前年比4.4%、搬送人員数も同3.7%増加したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響からか、新型コロナ前の2019年よりは出動件数、搬送人員よりも減少している。
事故種別の最多は「急病」で405万4706件(65.5%)
2021年の救急車の出動件数は619万3581件と前年比で26万304件(同4.4%)増加、搬送人員数は549万1744人と同19万7914人(同3.7%)増加した。
メディアが盛んに新型コロナの感染拡大による救急車不足や救急車による病院への搬送困難を喧伝した結果なのだろうか、ピークだった新型コロナ前の2019年の出動件数663万9767件、搬送人員数597万8008人と比較すると、新型コロナの影響により受診抑制が続いていることがわかる。(表1)
2021年に救急車は1日平均では1万6969件(前年は1万6211件)出動しており、約5.1秒(前年は約5.3秒)に1回の割合で出動したことになり、国民の23人に1人(前年は24人に1人)が搬送されたことになる。
救急車出動の事故種別では、最も多いのは急病で405万4706件(構成比65.5%)を占める。次いで、一般負傷の96万9130件(同15.6%)、交通事故の36万8491件(同5.9%)となっている。搬送人員数では急病360万5179人(同65.6%)、一般負傷87万9503人(同16.0%)、交通事故34万573人(同6.2%)の順。
事故種別の構成比は例年同じだが、2021年は急病での出動件数が前年比5.3%増加、一般負傷の1.8%増、交通事故の同0.6%増を大きく上回った。
これは、搬送人員数でも急病が同4.4%増、一般負傷が同1.5%増、交通事故は0.5%減となっており、発表では新型コロナ患者の搬送については触れていないが、その影響が出ているものと思われる。
ちなみに、救急車の出動件数・搬送人員数では月別では12月、曜日では月曜日、時間帯では午前10~12時が最も多くなっている。