金融教育が始まった
2022年度から全国の高校の「家庭総合」の授業で、金融教育が始まったことを紹介している。国民全体に投資への関心を高めるのが政府の狙いだが、金融庁のNISA特設ウェブサイトに、前田さんは注文をつけている。適当な数字で「元本割れなし」を印象付けていることに、「でたらめを書くな」と叫びたくなる、と。
最近、市場関係者の間でささやかれているのは「何か政府はウルトラCを考えているのではないか」というストーリーだという。その一つが、国民に日銀が保有しているETFを配布するという案だ。
野村総合研究所の提案では、18歳を迎えたときから10年間、毎年、ETF5000円分に引き換えられる電子クーポンを配布しようというもの。任意の証券会社にクーポンを提示すれば、口座に5000円分のETFの保有が登録され、いつでも売却できる仕組み。10年間で5万円にすぎないが、ささやかな投資体験にはなる。
ちなみに、読者に向けては、金融資産の分散よりも、「稼ぐ力の分散」がもっと重要なリスクヘッジだとして、夫婦それぞれが職業能力に磨きをかけること、子供にいきる力を与えることが欠かせない、とアドバイスしている。
株式投資をする前に基礎知識を得る本として、一読を勧めたい。(渡辺淳悦)
「株式投資2023 不安な時代を読み解く新知識」
前田昌孝著
日経BP
1045円(税込)