昨年12月、電力カルテルで1000億円の課徴金...中部電力、中国電力、九州電力
不正閲覧が発覚した他の電力大手は「問い合わせ対応のためだった」などと主張し、悪質性は低いと釈明しているものの、電気事業法が禁じた他社情報の閲覧をしていたことに変わりはない。コンプライアンス意識の欠如は明らかだ。
思えば直近でも、電力業界の不祥事があったばかりだ。公正取引委員会が22年12月、複数の大手が相互に顧客獲得を制限するカルテルを結んだとして独占禁止法違反で処分案を通知した。
通知を受けた中部電力、中国電力、九州電力の3社と子会社には計1000億円の課徴金納付が課されることになった。だが、実は、3社にカルテルを持ちかけたのは関電で、公取委の動きをいち早く察知し、違反行為を自ら申告することで課徴金納付を回避したとされる。
言葉は悪いが、「主犯」が真っ先に「自首」して罰を免れたようなものだと批判された。
そこへきて、今回の顧客情報の不正閲覧問題である。
折からの資源高を受け、電力各社が電気料金の本格値上げに動いているが、不祥事続きの状態で消費者を納得させるのは難しいだろう。ちなみに、原発の再稼働で先行する関電は火力発電への依存度が低く、値上げ申請をしていない。