パウエル議長「ハト派変身」で金が高騰、暗号資産まで回復
日本経済新聞オンライン版(2月2日付)「米株続伸、過度な引き締め懸念後退 ナスダックは2%高」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者が、FOMCの結果を受けて、一気に活況を呈した市場の反応をこう解説した。
「米利上げ局面が終わりに差しかかっていることで、マーケットは走り出しました。株式市場では金利に敏感なナスダックがパウエル議長会見をきっかけに2%の急上昇。商品市場では金利を生まない資産である金(ゴールド)が急騰しました。見逃せないのは暗号資産であるビットコインが円建てで300万円を回復したことです」
さらに、ドル円相場も大きく動いたとして、
「米長期金利の低下を織り込む形で、ドル相場が下げに向かっています」「日本では日銀に利上げを求めるのが挨拶代わりになっていますが、FRBが3月の0.25%利上げで今回の利上げを打ち止めにするようだと、金融政策を取り巻く景色も変わるのではないでしょうか」
と、日本銀行の金融政策への影響を指摘した。
同欄では、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏が、「ハト派」という印象を受けたパウエル議長の立場をこう解説した。
「パウエル議長は記者会見で、FRBにはなお取り組むべきことが多くあり、利上げの続行を引き続き想定しているとした。その一方で同議長は、『ディスインフレのプロセスが始まった』と明言。利上げは終盤だという市場の見方を後押しした。
また、市場は事前に、株高・長期金利低下・ドル安進行によって米国の金融環境がFRBの意図よりも早いタイミングで大幅に緩んでしまうのを回避すべく、タカ派姿勢が今回の議長記者会見でも意識して強調されると警戒していた」
このような、パウエル議長VS金融市場の対立構図を説明。そのうえで、
「だが、実際は警戒したほどでなかったとの受け止めから、株式と債券が買われ、ドルが売られた。最近の金融環境の緩みに関する質問に対し、パウエル議長は正面からの回答を回避した」
と指摘した。