ヤクルト本社株、5年ぶり高値...中国での値上げを好感

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   ヤクルト本社の株価が2023年1月26日の東京株式市場で一時、前日終値比190円(2.0%)高の9500円まで上昇し、約5年ぶりの高値となった。

   積極的に発表したわけではないが、主要市場の中国で値上げしたとの情報が1月中旬に株式市場に広がり、投資家に好感され、じわじわと株価を上げていた。終値は26日まで8営業日連続で上昇した。

  • ヤクルト本社株に注目
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証券各社は好反応...投資判断を最上位に格上げ、目標株価引き上げ

   それでは中国での値上げの内容をみておこう。対象は「ヤクルト」「ヤクルトライト」の2商品で、原材料価格の高騰が背景にある。中国全土で1月から実施しており、主力の広州エリアでは10%程度、広州以外のエリアでは9~14%程度の価格上昇となっている。

   ヤクルト本社の売上高のうち、乳酸菌飲料と食品が9割程度を占める。日本の食品企業としては海外進出の成功事例とされるだけあって、乳酸菌飲料と食品の売上高の海外比率は5割近い。その海外の最大市場が中国であり、中国での値上げは全体の経営にも影響する。

   野村証券は23年1月10日配信のリポートで「2023年3月期の営業利益予想674億円に対して約60~70億円、9~10%程度の増益要因と計算される」としたうえで、「足元では新型コロナ感染者の急増を受けて中国事業は苦戦しているだろうが、集団免疫が獲得され、消費行動が正常化していけば中国事業は回復軌道に入るとみる」との見解を示した。

   SMBC日興証券は11日配信のリポートで、「値上げの決断はポジティブサプライズ」と歓迎しつつ、「現地の競合は値上げを実施していない」点にややリスクがあるとの見方を記した。 シティグループ証券は11日に投資判断を3段階で最上位の1に格上げし、目標株価も9000円から1万1000円に引き上げた。モルガン・スタンレーMUFG証券は16日に目標株価を8400円から9000円に引き上げた。

   こうした証券各社の好反応もあって株価は5年ぶりの高値まで上がった。

中国、米国、東南アジアで「ヤクルト1000」などの販売にも期待

   ヤクルト本社の国内事業は品薄になった「ヤクルト1000」などを抱えて堅調だ。

   中国での値上げが順調に浸透すれば、こうした高単価商品を中国に投入することでさらなる成長の余地があるとの見方も株式市場にはある。

   高単価商品は米国や東南アジアでの販売も期待されている。当面、業績の改善を見ながら株価が上昇する可能性がありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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