「離職率が日本一低い」ゴールドウイン社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック!

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   就職先、転職先や投資先を選ぶとき、会社の業績だけでなく、従業員数や給与の増減も気になりませんか?

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、東洋経済ONLINE「離職する人が少ない大企業」ランキングで1位(離職率0.5%)に輝いたスポーツウエア大手のゴールドウインです。

   同社のルーツは1951年、津沢メリヤス製造所として富山県に設立。1963年、東京五輪のユニフォーム製造を受注し、社名をゴールドウインへ改称します。1991年に東証二部上場、1995年に東証一部へ市場変更(現プライム)。自社ブランドのほか、THE NORTH FACEやellesse、HELLY HANSENなど約20もの海外スポーツブランドの製品を展開しています。

  • 今回は「ゴールドウイン」に注目(写真はイメージ)
    今回は「ゴールドウイン」に注目(写真はイメージ)
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コロナ禍の打撃を受けつつ、業績は右肩上がり

   それではまず、ゴールドウインの近年の業績の推移を見てみましょう。

   ゴールドウインの売上高は右肩上がりに伸びています。2020年3月期にはラグビーW杯2019日本大会の日本代表レプリカジャージの売上好調などもあり、売上高は10期連続増収、営業利益は12期連続増収かつ3期連続で最高益を更新しました。

   一方、2021年3月期にはコロナ禍の大打撃を受け、第1四半期中の約2ヶ月間にわたり「ほぼ全店休業状態」を余儀なくされましたが、それでも前期に次ぐ売上利益を確保しました。

   2022年3月期にはEC売上高が前期比16.4%増加したことなどにより、過去最高の売上高を記録しV字回復を果たします。営業利益はコロナ前の水準に回復しなかったものの、営業利益率16.8%と改善しています。

   2023年3月期の業績予想は、売上高は1060億円(前期比7.9%増)と過去最高を更新し、営業利益は170億円(同3.0%増)となる見込みです。なお、第1四半期決算時に第2四半期の予想を上方修正しましたが、通期ではいまのところ変更はしていません。

THE NORTH FACEなどの商標権・販売権を保有

   ゴールドウインの製品企画・製造・販売は主に自社で行い、展開するブランドには3種類あります。「オリジナル」は自社のゴールドウインなど、「オウンド」は自社が商標権や販売権を保有しているTHE NORTH FACEやHELLY HANSEN、ellesse、DANSKIN、CANTERBURY、「ライセンス」は三井物産が日本国内でのライセンスを取得しゴールドウインが開発・販売を行うSpeedoなどです。

   ゴールドウインは「スポーツ用品関連事業」の単一セグメントですが、「アウトドア関連ブランド商品」「アスレチック関連ブランド商品」「ウインター関連ブランド商品」「その他」といった事業を展開しています。

   2021年3月期まではこの区分で売上高を公表しており、THE NORTH FACEブランドの登山用ウエア、マリンウエア、アウトドア用品等の「アウトドア関連」が781億円で、全体に占める構成比が86.3%と大半を占めていました。

   次いで、ellesse、DANSKIN、Speedo、CANTERBURYブランドのトレーニングウエア等の「アスレチック関連」が78億円(同8.6%)、スキーウエア等の「ウインター関連」が19億円(同2.1%)、機能アンダーウエア等の「その他」が26億円(同3.0%)でした。

   新中期5カ年経営計画が始まった2022年3月期からは、事業区分を「パフォーマンス」「ライフスタイル」「ファッション」に再編しています。同期売上高の構成比は、パフォーマンスが343億円で35.0%(前期比25.5%増)、ライフスタイルが566億円で57.7%(同0.4%増)、ファッションが72億円で7.3%(同8.2%増)となっています。

平均勤続年数17年、平均年収637万円

   ゴールドウインの連結従業員数は、2018年3月期の1199人から1290人→1356人→1424人へと順調に増加し、2022年3月期には1510人となっています。

   単体従業員数は、2018年3月期の611人から679人→758人へ増加。さらに、2021年3月期には研究開発拠点のゴールドウインテクニカルセンターを吸収合併して1110人と増加し、2022年3月期には1118人となっています。

   ゴールドウインの平均年間給与(単体)は右肩上がりに伸びていましたが、2021年3月期に平均年齢および平均勤続年数の上昇とともに一時減少。2022年3月期は637万円と、前期比で30万円増加しました。平均年齢は44.5歳、平均勤続年数は16.9年でした。

   ゴールドウインの採用サイトを見ると、新卒採用のほか、全国150店舗以上の直営店、アウトレット店、 有名百貨店などでの販売職、およびMD(マーチャンダイザー)、デザイナー・パタンナー、管理部門で契約社員の求人があり、勤務地は東京と富山があります。

   THE NORTH FACEブランドの「パフォーマンス」領域のアパレルMD職は、東京・松濤の本社勤務。給与は応相談で、テレワーク運用規定内での在宅勤務が可能となっていました。契約は1年更新で、ゴールドウインの製品が社員価格で購入できる社員割引があります。

株価は好調、課題は海外展開

   ゴールドウインの株価は2015年1月までは1000円未満と低迷していましたが、同年11月に1780円の高値をつけてから上昇傾向が続き、2022年11月24日には9900円の最高値を更新しました。現在も9500円前後で推移しています。

   2022年3月期末時点での直営店舗数は164で、自主管理売上比率は61%にまで上昇。EC売上高比率も全体の13.4%まで高まっており、収益力は向上しています。

   加えて、ゴールドウインはグローバル展開を行っており、韓国、中国、ヨーロッパ、北米に拠点を置き、2021年12月にオリジナルブランド「ゴールドウイン」の直営店を中国に初出店しています。

   しかし、たとえば主力のTHE NORTH FACEブランドの製品は日本国内でしか販売できないなどの制約があり、売上高の9割超は日本となっています。製品の品質には定評があり、どう海外展開していくかが注目です。(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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