豊田新会長と同じ車好き...スポーツカー路線も当面変わらなそう?
豊田氏が佐藤氏を後任に指名する決め手になったのは、理系出身のエンジニアであるだけでなく、佐藤氏が豊田氏と同様、無類のクルマ好きであることも大きいのではないか。
佐藤氏は大学時代にガソリンスタンドでアルバイトした経験をもつ根っからのクルマ好きだ。最近では1980年代のトヨタの名車「AE86」を手に入れ、レストア(修復)していると公言している。
お互い「カーガイ」であることも、豊田氏と佐藤氏の信頼関係につながっているに違いない。だが、よくも悪くも周囲には、クルマ好きの「お友達」同士が会長・社長に就任するようにも映る。
その意味において、トヨタのクルマ作りが急激に変化するとは考えにくい。とりわけクルマ好きにとっては、豊田社長が復活させた86(現GR86)やスープラ、新たに投入したGRヤリスなどのスポーツカー路線が当面変わらないのは朗報だ。
また、環境対応車をめぐってはプリウス、アクアが代表するハイブリッドカーとミライの燃料電池車、そしてbZ4Xが第一弾となった電気自動車(BEV)の「全方位路線」も変わらないだろう。 しかし、米テスラや中国BYDなど新興メーカーに加え、独フォルクスワーゲンなどがBEVで市場を固めつつある中、トヨタだけ全方位路線で本当に大丈夫なのか。
トヨタは内燃機関の脱炭素化にこだわっている。その中で、佐藤氏がモータースポーツ部門で陣頭指揮を執る水素エンジン車の技術が完成し、市販車に及ぶかどうかは大きな焦点だ。