大増税時代への対応とは?
「週刊東洋経済」(2023年2月4日号)の特集は、「大増税時代の渡り方」。「生前贈与を逃がすな、NISAで備えよ」という資産防衛対策とは。
いずれ、「防衛増税」と「子育て増税」がやってくると予想される。その前にやってくるのが、富裕層から始まる「大増税」だ。生前贈与の正しく賢い使い方を解説している。
そもそも43兆円ともされる防衛費のための増税はどうなのか? 土居丈朗・慶応義塾大学経済学部教授が問題提起している。
「反撃能力を保有し、戦後の安全保障戦略を大転換するため、防衛費をGDP(国内総生産)比2%に倍増するのだから、もう無駄遣いは許されない。割高な値段だったり、役に立たなかったりする防衛装備品を米国に買わされることのないよう、厳に臨むべきだ」とクギを刺している。
特集は、消費税のインボイス制度にも言及している。
企業の一般社員も無縁ではないというのだ。「1回当たりの取引が3万円公共交通料金」など一部例外を除き、仕入額税額控除にはあらゆる取引でインボイスの入手が必要になるからだ。
これまでは3万円未満の買い物であれば、請求書や領収書がなくても、帳簿で保存するのみで仕入税額控除ができた。だが、これからは、100円のペンやペットボトルの水などを購入するに当たっても、インボイスを手に入れなければならない可能性があるという。
企業によっては、社内においてインボイスでない請求書や領収書は、経費精算が「NG」になるかもしれないという。
もともとインボイス制度は、消費税の税率を8%から10%に引き上げた2019年10月、軽減税率の8%も含めた複数の税率に対応するため、導入が決まったという経緯があることを初めて知った。インボイスが普及するまでに、さまざまな混乱が起きそうだ。
一方、インボイス関連で時限的な負担軽減措置もあるので押さえておきたい。
・売上高1000万円以下の小規模事業者は2023年10月以降3年間、納税を売上税額の2割に抑えられる
・売上高1億円以下の中小事業者は同じく6年間、1万円未満の少額取引なら、インボイスなしで帳簿保存にみでも仕入税額控除ができる
・免税事業者が課税事業者に登録する場合、持続化補助金(税理士相談費用等)が50万円加算される
・会計ソフトなどの購入にもIT導入補助金を活用できる
・インボイスの登録申請は23年9月末まで可能になる
日本の税制は例外だらけと言われるが、こうした有利な「例外」も知っておいた方がいいだろう。
資産を増やすという記事では、「新NISAの大盤振る舞い」として、iDeCoとの併用で千万単位が無税になることを取り上げていた。月10万円まで、再投資も可能だ。使い勝手が向上したNISAを見逃す手はないだろう。