影響が大きい業種は?...ダイヤモンド「インボイス」、東洋経済「大増税」、エコノミスト「賃上げサバイバル」を特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

インボイス制度の影響は全ての企業に

   1月30日発売の「週刊ダイヤモンド」(2023年2月4日号)の特集は、「インボイス&改正電帳法」。

   2023年10月から開始される、インボイス制度。これまで免税事業者だった個人や小規模事業者だけではなく、その事業者と取引のある全ての企業に影響が及ぶ。その対策をまとめている。

   ポイントは大きく4つある。

   ポイント1は、これまでの帳簿や請求書を保存する方式から、国が厳格に記載事項を定めた請求書であるインボイスに代わること。そして、10月以降は、インボイスでなければ、消費税を支払ったとは認められず、ポイント2の「仕入税額控除」ができなくなることだ。

   ポイント3は、免税事業者は、適格事業者になるか免税事業者になるかの選択を迫られる。もし、免税事業者のままを選択すれば、ポイント4の取引先は困ったことになる。免税事業者に支払った消費税額を差し引けないため、消費税の「二重払い」という大損が発生するからだ。

   となると、適格事業者になるしかないが、売上高5000万円以下ならば、簡易課税制度というお得で便利な制度もある、と説明している。

   インボイス制度は、免税事業者だけではなく、その業者と取引のある多くの企業にも影響があるという。しかも、多くの場合で買い手側の企業にも負担が発生するというから、対策が求められる。

◆独占禁止法に抵触しないように

   独占禁止法にも注意する必要がある。買い手側が売り手側に強制すると、優越的地位の濫用になる可能性が高い行為には以下のものが挙げられる。

1 免税事業者に仕入れの消費税が支払えないほどの値下げ要請をすること
2 適格事業者になるよう要請したのに、売り手の負担増を考慮した取引価格にしない
3 免税事業者が消費税全額の値下げ要請に応じないことを理由に取引を停止する

   独占禁止法に抵触しないよう、丁寧な交渉をすることを勧めている。全事業者の約6割が免税事業者であるため、できるだけ早く仕入先、外注先の適格事業者の登録状況を確認することが重要だ。

   インボイス制度で問題になるのは、個人事業主やフリーランスばかりではないという。

   不動産の賃借料や売買には消費税がかかる取引とかからない取引が混在しており、賃貸オーナーや管理会社の混乱も必至。賃借人から、インボイスを要求されることもあるそうだ。

   また、保険業界でもインボイス制度の導入で、保険代理店に打撃があるのでは、と懸念されている。保険料は非課税だが、営業職員や保険募集人の収入である事業所得や手数料は課税取引のため、消費税が発生しており、インボイスの影響が大きいという。

   営業職員の給与が問題になる。通常、給与は非課税取引であり、消費税がかからないが、営業職員は税法上の個人事業主であるため、実は生保会社は消費税を払っているという。ただ、消費税は給与の中に内包されており、普段それを意識することはない。これまで通り、消費税納税分は生保会社が負担すると見られている。

   だが、保険代理店はそうではない。そのため、代理店経営に大きな影響が出ると予想される。

   余談だが、評者のところにも「適格請求書(インボイス)発行事業者登録番号のご通知とご依頼」という文書が、取引先から届いたばかりだ。零細ライターはインボイスと無縁だと思っていたが、決してそうではないようだ。

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