年末商戦でも消費マイナス、さらに大手企業の大幅人員削減
こうした数字をエコノミストはどうみているのか。11月~12月の消費落ち込みと大企業の大幅人員削減に注目しているのが、ニッセイ基礎研究所主任研究員の窪谷浩氏だ。
窪谷氏はリポート「堅調な米個人消費は持続可能か-金融引締めの継続に伴う金融環境の引締まりや、労働市場の減速から個人消費の伸びは鈍化へ」(1月30日付)のなかで、米実質GDPの中の「実質個人消費」(前月比)のグラフを示して分析した【図表1】。
「10-12月期の個人消費を仔細にみると、11月から2か月連続で減少に転じており、年末にかけて個人消費が減速した可能性が示唆されている」
米国ではこの時期、感謝祭の休みが明けた11月25日(ブラックフライデー)から12月24日のクリスマスイブまでの1か月間、大々的な年末商戦が行われたのだ。それが、財消費が大幅なマイナス。サービス消費も横ばいに低下し、財・サービスともに減速したことがわかる。
窪谷氏はがもう1つ指摘するのが、大手IT企業を中心とした大幅な人員削減だ。
「22年末から大幅な人員削減を発表する企業が増加しており、今後は雇用増加ペースが大幅に鈍化する可能性が高い。
フェイスブックの親会社であるメタ(マイナス1.1万人)や、ツイッター(同0.5万人)、アルファベット(同1.2万人)、マイクロソフト(同1.0万人)、アマゾン(同1.8万人)などのテクノロジー企業をはじめ、ゴールドマン・サックス(同0.3万人)などの金融、生活雑貨のベット・バス&ビヨンドなどの小売企業で大幅な人員削減が発表された」
景気減速から人員削減の動きは加速し、労働需要の低下から賃金の伸びも鈍化が見込まれるという。そして、今後の見通しをこう結んでいる。
「FRBはインフレ抑制のために金融引き締めを継続する姿勢を明確にしており、金融環境の引き締まりが見込まれるほか、(中略)労働市場の減速に弾みがつくとみられることから、今後の個人消費の減速は不可避だろう」