防衛費増額の財源めぐり、国債の「60年償還ルール」見直し案浮上...自民党内で故安倍元首相の意向に忠実な積極財政派、増税方針に反発根強く

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萩生田政調会長主導で、税以外の財源捻出を検討する特命委を設置

   さて、防衛費の財源の話である。政府は2022年末、27年度の防衛費を現状より4兆円増額する方針を決定し、うち3兆円を「歳出改革などの工夫でねん出」し、残る1兆円を増税で手当てすると決めた。

   ただ、この増税方針に、自民党内、なかでも故安倍晋三元首相の意向に忠実な積極財政派を中心に反発が根強い。年末も、増税する方針は決めたが、実施時期などの決定を先送りした。

   積極財政派には、少しでも増税を減らし、遅らせ、あるいは増税を撤回させようという動きがあり、その中で「60年償還ルール」見直しの声も出ているのだ。

   まず口を開いたのが、萩生田光一政調会長だ。2022年12月、「ルールを見直して、償還費で(防衛費の財源を)まかなうことも検討に値する」と発言した。

   自民党は、その萩生田氏主導で、防衛費増額に向けて、税以外の財源捻出を検討する特命委員会を設置。萩生田氏が自ら委員長に就任し、23年1月19日の初会合で「防衛費の財源について、もう少し腰を据えて議論をすべきだとの発言が多数寄せられた」と、特命委設置の趣旨を説明し、「防衛力強化の取り組みが絵に描いた餅にならないよう、責任ある議論を行う」と述べた。

   設置当初、「まずは税外収入などを防衛費に充てるために、政府が通常国会に提出予定の関連法案審議に臨み、その後に増税幅圧縮の余地を探る方向」(大手紙政治部キャップ)とされていた。

   だが、1月19日の第1回会合では財政積極財政派の議員から「増税なき防衛費増額を目指すべきだ」など、増税反対の声が相次ぎ、「(国債の)60年償還ルールを廃止すれば、財源になる」などの意見も出たという。

   さすがに、24日の第2回会合では、増税以外の防衛費財源に充てる「防衛力強化基金」新設など関連法案を中心に議論したが、ここでも、60年償還ルールも直しを求める声が積極財政派から出たという。

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