「そのスマホ、のぞかれていませんか?」
いわゆる「ガラケー」からスマートフォンに替えるシニアが急増しているが、まだまだセキュリティー対策がおろそかになっている人が多いことが、NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2023年1月19日に発表した調査「シニアのセキュリティー対策の多寡とスマホ利用に相関」で明らかになった。
画面ロックの利用者は60代で6割弱、70代で3割弱しかいない。セキュリティー対策をしっかりする人ほど、スマホを楽しむスキルが高いという。面倒くさがらずにスマホを可愛がりましょう。
「何をすれば十分なのかよくわからない」人が半数以上
NTTドコモモバイル社会研究所の調査は、60歳から79歳のシニア層の男女709人が対象だ。2022年1月時点の調査では、スマホ所有率が60代で91%(前年比プラス11%)、70代で70%(前年比プラス8%)と、かなり浸透してきた。
まず、どんなセキュリティー対策をしているのか、していないのか、またどんな困ったことがあるのかを聞いた。それによると、「何をすれば十分なのかよくわからない」(60代60%・70代53%)、「対策実施方法がわからない」(60代34%・70代40%)、「不審なメールが届くことがある」(60代36%・70代27%)、「定期的なパスワード変更など、面倒な対策はしていない」(60代33%・70代23%)といった項目が上位に並んだ【図表1】。
この結果をほかの年代と比較したのが【図表2】だ。全体的に、ほかの年代に比べて実施している割合が低いのが特徴だ。特に、若中年層と比較して低いのは「画面ロックを利用している」(48%)、「最新のOSにアップデートする」(14%)、「スマホ以外で利用しているパスワード・パターン等と異なるものを利用する」(17%)、「他人から見られないようにする」(20%)だった。
いったいどうしてこういうことが起こるのか。シニア層には、利用している機種によって対策傾向が異なることについて、理解が足りない面が背景にあるようだ。
利用している機器の種類別にセキュリティー対策の傾向を見ると、シニア向けのスマホ(らくらくスマートフォンなど)を利用している人は、全体的に対策が低い傾向だ【図表3】。たとえば、iPhone利用者は「画面ロックを利用している」人が76%と、4人に3人もいるのに、シニア向けスマホ利用者は21%と、5人に1人しかいない。
また、シニア向けスマホ利用者は「対策は特に行っていない」という人が36%もいる(iPhone利用者は10%だけ)。この違いはシニア向けスマホ利用者が70代に偏っていることも大きな理由だ。