日本にしかなかった「総合商社」...いったい何をしている会社なのか?

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   いま、就活生の人気ランキング上位を総合商社が占める。だが、ニュースで常に注目を集めながらも、その実態はよく知られていない。

   本書「総合商社とはなにか」(平凡社新書)は、日本特有のその業態、歴史や機能を明らかにした本だ。ビジネスパートナー、学生必読の内容になっている。

「総合商社とはなにか」(猿島弘士著)平凡社新書

   著者の猿島弘士さんは、サービス・マーケティング研究家。博士(マネジメント)。総合商社勤務後、グローバル戦略コンサルティング・ファームなどでコンサルタントとして活躍。10年間の大学教授としての勤務を経て、現職。

総合商社は何社あるか?

   評者も、周囲に総合商社勤務の友人が多数いたので、その業務について理解していたつもりだった。ところが、序章を読み、まったく浅薄だったことを知った。

   たとえば、総合商社の収益構造が、過去の商取引を中心にするものから、現在は投資に比重を置くものに変化していたからだ。

   近年研究が進んできた、サービスに重点を置く新しいマーケティング理論をもとに、「ヌエ」のような存在とも言える、総合商社の実態に迫っている。

   まずは、総合商社の歴史から解きほぐしている。

   総合商社は何社あるか、即答できるだろうか? 正解は、7社だ。

   メディアではよく、財閥系の三菱商事、三井物産、住友商事に、非財閥系と言われる伊藤忠商事と丸紅をあわせて、大手総合商社5社と表現している。その5社にトーメンを吸収合併した豊田通商と、双日を合わせた7社を総合商社と定義している。

   7社の2021年度の業績は、資源・エネルギーなどの価格高騰や円安の追い風を受けて、空前の好決算となった。7社がすべて過去最高の連結当期純利益を達成した。

   なかでも上位3社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事)は、すべて純利益が8000億円を超えた。三菱商事の22年度の純利益予想金額は初の1兆円となり、トヨタ自動車、NTTと並ぶ水準である。

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